この記事は、業務量の多さや人間関係で悩む調剤薬局事務向けに辛い職場環境の改善方法をまとめています。今の職場に残るべきか、転職を検討するべきかが判断できるようになります。
監修者 | 経歴 |
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豊島 | 株式会社パーソナルナビ メディア事業部。 キャリアアップメディア『THE CAREER』 のインタビュアー兼ライター。 四年制大学の教育学部を卒業後、 都内公立小学校に勤務。 退職後は教育者の経験を活かし、 20代~30代を中心にキャリアアップ支援事業を行う現職に就く。 |
調剤薬局事務を「辞めたい」「辛い」と感じる理由
独自で行ったアンケートを基に、調剤薬局事務の業務を行う中で、辞めたい・辛いと感じる理由をまとめました。
理由1位:残業が発生しやすい
調剤薬局事務は、患者からの処方箋の受付や保険請求などの業務を担当しているため、忙しい時間帯には残業が発生しやすい傾向にあります。さらに、隣接する医療機関の診察が終わるまでは閉店することができないという点が調剤薬局には共通します。特に大きな病院や診察数の多い冬の時期には、患者が途切れることがなく残業が常態化することがあるため、仕事がいつ終わるか分からないことに対してストレスを感じている人が多い印象です。
また、処方箋の処理には細かな作業が多く、ミスが許されないため、時間に余裕を持って処理を行う必要があります。そのため事務員は残業が発生しやすく、疲れやストレスを抱えてしまう傾向にあります。
残業が続くことにより、仕事とプライベートのバランスが崩れ、ストレスや負担が増大し体調を崩してしまう方も少なくないようです。
また、隣接した病院やクリニックの診察時間や休診日に合わせてのシフト制の勤務形態になるため、希望通りの休みが取れなかったり、出勤時間が不規則だったりという点に不満を抱いている人もいます。
元調剤薬局事務の声
医療機関横の
調剤薬局事務
薬局の閉局時間自体が20時と遅い上に、隣接する医療機関の診察が終わるまで薬局を開けていないといけませんでした。終業時間が遅くなることが多く辛かったです。
皮膚科内の
調剤薬局事務
病院の診察が終わるまでは、こちらも閉めることができないので、いつ仕事が終わるか分かりません。出勤日に予定を立てられないことがストレスでした。
理由2位:性格が合わない人との人間関係に悩む
調剤薬局事務は、患者や医師、薬剤師、同僚と様々な人と接することが多いため、性格が合わない人との人間関係に悩む方が多いです。いわゆる「お局」と呼ばれる威圧的な同僚に、悩んでいる方が多くいらっしゃいました。
また、調剤薬局事務として働くうえで薬剤師と接することは避けられません。理不尽なことでも薬剤師の言うことは絶対なので、受け入れなくてはいけないという点が大きなストレスになるようです。
性格の合わない同僚や薬剤師の気分に職場全体が振り回されてしまったり、理不尽な嫌がらせを受けるというケースもあるようです。職場の人間関係が悪化すると、業務に支障をきたすこともあり、ストレスや負担が増大し、うつ病や不眠症などの精神的な疾患になってしまうリスクが高まります。
元調剤薬局事務の声
院外処方の
調剤薬局事務
どうしても性格が合わないなと感じる人がいて辛かったです。私の前で、私への嫌みを他の人に言っているのが耐えられませんでした。
病院横の
調剤薬局事務
店長の気分に振り回されることが多く、毎日ストレスを感じていました。他のスタッフが味方になってくれたのが、不幸中の幸いです。
理由3位:患者のクレーム対応が辛い
接客業である以上、ある程度のクレームは理解できるものの、理不尽なクレームへの対処はつらいという意見が見られました。
薬剤師の指示ミスや説明不足などの理由で、患者からクレームが寄せられた場合にも事務員が対応しなければならないことがあり、事務員にとっては責任を感じたり、自信を失ったりする原因になる場があります。クレームが重要な内容である場合には、上司や薬剤師に報告する必要があるため、プレッシャーや負担が大きくなってしまいます。
病院で長い待ち時間を過ごした患者は、その苛立ちを調剤薬局事務にぶつけてくることも少なくありません。例えば、処方箋を預かってから時間が経っていないのに「遅い」と怒鳴られたり、謝罪をしても説教をされ続けるなど。理不尽に耐えきれず、退職する方がいらっしゃいます。
元調剤薬局事務の声
医療機関隣の
調剤薬局事務
待ち時間が長引くと「早くしろ」と文句を言う患者がいました。また、保険証の提示を求めた際に「なんで見せないとアカンねん」と理不尽に怒られたこともあります。
病院横の
調剤薬局事務
混み合う時間帯はいつもより調剤に時間がかかります。どうしようもできないのですが、患者さんからは「まだか」と説教されるので辛いです。
仕事のストレスを解消して、辛い気持ちを抑える方法
調剤薬局事務を辞めた方10名へのアンケートを参考に、辞めたいと感じる理由に対する対処法をまとめました。
Q. 常態化する残業を改善するには?
A. 繁忙期を予測し、ピッキングなどを事前に行なっておく。
繁忙期は基本的に毎年同じなので、前もってできる準備を済ませておきましょう。患者の待ち時間が減り、自身の残業削減に繋がります。
例えば、処方量の多い患者さんの来院日をカレンダーに記入し、来院日1週間前にピッキングを行っておくと、来院当日の待ち時間を削減することができ双方のメリットに繋がります。
A. 事務員の増員を店長に相談する。
毎日1〜2時間の残業が常態化している場合、そもそもスタッフが足りていません。店長に相談してスタッフを増員してもらい、業務を分散化しましょう。
相談したにも関わらず「楽をしようとするな」などと拒否された場合、ブラックな薬局である可能性が高いです。勤務先を変更するか転職を検討するのがおすすめです。
Q. 人間関係の悩みを改善するには?
A. 苦手な人とのコミュニケーション回数をあえて増やす。
意図的に話す回数を増やしましょう。人間は接触回数の多い相手に好感を抱きやすいため、通常より1回でも会話を増やすことで、無意識のうちに好感度が上がります。
最初はつらいかもしれませんが、結果として、相手からのパワハラや嫌がらせが改善されるケースがあります。
A. 自分自身のコミュニケーション能力を見直す。
性格が合わない人との人間関係に悩む場合、自分自身のコミュニケーション能力を見直し、向上に努めることも大切です。
自分の意見を上手に伝えたり、相手の意見を聞き出すことができれば、人間関係が改善する可能性があります。また、コミュニケーションに悩んだ時は、心の許す同僚や先輩に相談するのもいいでしょう。
Q. クレーム対応を改善するには?
A. 聞き手の対応を心がける。
厄介な患者さんについては、丁寧に話を聞く対応を取りましょう。そもそもクレーマーには、「ただ話を聞いてほしいだけ」という方が一定数居ます。
話に相槌を打ちつつ目を見て話を聞くことで、聞きの姿勢が伝わり、クレーム処理を早急に終わらせることができます。
どうしても患者のクレームが収まる様子がなく、他の患者に迷惑をかけてしまうようであれば、上司や責任者に相談しチームとなって収束に向かいましょう。
A. 処方箋を先にFAXしてもらう。
病院やクリニックと連携し、処方箋が出来次第FAXで流してもらい、少しでも早く調剤に取りかかれるようにしましょう。
患者さんはすぐ来店されるため、待たせてしまうことには変わりはないですが、5分待ち時間が短縮できるけでも、患者の不快感やクレームは減らすことができるでしょう。
どうしても辞めたい・辛い気持ちが消せない場合は
自分がやりたいことを洗い出してみる
やりたいことが明確でないと、今後も同じ不満を抱えてしまう可能性があります。自身の目指すキャリアを明確にし、やりたい方向に向かっているのか、自己分析しましょう。
自己分析が1人でできない・うまく行かない場合は、「i3 アカデミー」の無料自己診断がおすすめです。無料診断やキャリアプランナーの無料相談など、お悩みにあった解決方法が必ず見つかります。
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もし仕事を辞めて、転職するならどうしたらいい?
まずは職種を変えるか検討しましょう。決める基準としては年齢が大きく関わってきます。
20代であれば、興味のある業界に飛び込んでも問題ありません。30代以降であれば、これまでの経験を活かせる職種の中で検討がおすすめです。
経験を活かせる次の職種
経理
調剤事務は、お薬代の計算や調剤報酬請求など、正確な計算を求められる仕事が多いです。ミスがないように常に心がけていた景観を企業のお金を扱う経理職の業務に活かすことができます。
介護士
どちらも患者さんに寄り添う仕事であり、薬の飲み方を正しく伝えるなど、調剤薬局での経験をそのまま活かせることも多いです。また、医療の専門機関で勤務していた実績があると、患者さんやその家族、職場からも厚い信頼を得ることができます。
どこで仕事を探すのがいいの?
仕事を探す方法は大きく3つの方法があります。
種類 | 転職サイト | 転職エージェント | 人からの紹介 |
---|---|---|---|
特徴 | サイトに掲載された求人から選び、自分で応募 | キャリアアドバイザーのサポートを受けつつ転職先を探す | 知人や社員の紹介・推薦により選考が始まる |
メリット | 好きなタイミングで、行きたい企業に応募可能 | 転職先調査などを代行してもらうため、手間がかからない | 書類選考が免除される場合がある |
デメリット | 求人に応募が殺到し、反応がないことがある | アドバイザーに当たり外れがある | 不採用時に紹介者との関係が悪化する可能性あり |
どの方法を選ぶにせよ、まずは第三者に相談をして客観的な意見を聞いてみることをおすすめします。
みんなはどうしてる?調剤薬局事務の退職・転職状況
調剤薬局事務の離職率に関して、明確なデータは現状存在しません。しかし、医療・福祉業界に分類されるため、医療・福祉業界の離職率が参考になるでしょう。
厚生労働省の令和2年の調査結果では、医療・福祉業界の離職率は14.2%です。
人間関係や業務負担に悩まされ、想像よりも身体的・精神的に辛いことが一因だと考えられます。あなた以外にも辛い職場を経験し、他の業界・職業へ転職する方が多いようです。
仕事を辞めた人、転職した人の体験談
20代・新卒の方の体験談①
なぜその職業に転職したのか
調剤薬局事務
残業時間が長く、繁忙期は4時間程度の残業が当たり前でした。体力的にもつらく、自分の時間を作れなかったので退職を決めました。
転職してよかったこと
自分の時間が増えたことです。定時退社が増え、仕事後や休日にデザインやFPなどの勉強をして、スキルアップを図ることができました。
転職して後悔したこと
ボーナスが下がったことです。ボーナスもいくらくらい支給されるのか、事前に確認すればよかったと思います。
20代・新卒の方の体験談②
なぜその職業に転職したのか
調剤薬局事務
変形労働時間制のため、生活と体調が乱れていました。先輩の退職で、負担が増えた中で続けることは難しいと判断し、転職しました。
転職してよかったこと
規則正しい生活を取り戻せたことです。バラバラな出勤・勤務時間が無くなり、休憩時間が取れない問題も解決しました。
転職して後悔したこと
年収が下がったことです。スタッフ数が少ないため、業務量が多く、前職よりも明らかに大変になりましたが、年収が下がってしまいました。
30代の方の体験談①
なぜその職業に転職したのか
調剤薬局事務
固定の休みが欲しかったからです。パソコンのスキルを休日にも磨きたく、土日休みのある一般企業へ転職しました。
転職してよかったこと
理想のワークライフバランスになりました。今は土日やGW、お正月、連休も取れます。
転職して後悔したこと
接客作業がなくなったことです。正直あまり、転職して後悔したことはないのですが、たまに人恋しくなる時があります。
30代の方の体験談②
なぜその職業に転職したのか
ドラッグストアでもっと医薬品の接客をしたかったためです。登録販売者の勉強をした上でお客様対応をした際、接客の楽しさに目覚めました。
転職してよかったこと
接客が楽しくて仕方ありません。調剤薬局ではお客様対応も少しでしたが、現職ではたくさんのお客様とお話できるのが楽しいです。
転職して後悔したこと
終業時間が遅くなったことです。ドラッグストアは営業時間が長いので、帰りの時間がシフトによっては遅くなります。
40代の方の体験談①
なぜその職業に転職したのか
調剤薬局事務
思うように休めなかったからです。人手不足で急用ができても休めず、 たとえ熱が出ても出勤していました。
転職してよかったこと
会社全体で労働時間の改善を図っており、シフトの希望も通りやすく、プライベートの時間を確保できます。
転職して後悔したこと
上司との人間関係です。機嫌が悪くなると、返事もしてくれず空気が悪くなります。基本的に2人だけの職場なので、気まずい雰囲気がストレスです。
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