介護士を辞めたい、辛いときのストレス解消法|辞めるか続けるべきかの判断基準を解説

この記事は身体的な負担やパワハラで悩む介護士向けに辛い職場環境の改善方法をまとめています。今の職場に残るべきか、転職を検討するべきかが判断できるようになります。

監修者経歴
豊島
豊島
株式会社パーソナルナビ メディア事業部。
キャリアアップメディア『THE CAREER』
のインタビュアー兼ライター。
四年制大学の教育学部を卒業後、
都内公立小学校に勤務。
退職後は教育者の経験を活かし、

20代~30代を中心にキャリアアップ支援事業を行う現職に就く。

介護士を「辞めたい」「辛い」と感じる理由

独自で行ったアンケートを基に、介護士の業務を行う中で、辞めたい・辛いと感じる理由をまとめました。

理由1位:身体的な負担が大きい

介護士の仕事は体が資本であり、大人の体重を支えるだけの十分な体力を必要とします。特に、入浴介助などは身体的負担が大きく、年齢を重ねるごとにハードな業務に不安を感じるようです。

特に多い悩みとして、「慢性的な腰痛」が挙げられます。労働者健康安全機構のアンケート調査によると、約90%の介護職員の方が腰痛を抱えていることが分かります。

社会福祉施設の介護職職員における腰痛の実態調査を基に、
独自にグラフを作成。

元介護士の声

20代 病院勤務<br>の介護士
20代 病院勤務
の介護士

介護職に携わってからは、腰痛に悩まされるようになりました。最終的には、日常生活にも影響が出るようになりました。

30代 <br>有料老人ホーム<br>の介護士
30代
有料老人ホーム
の介護士

人手不足もあり、体力を使う入浴介助の回数が多かったです。このままでは、身体がもたないと思いました。

理由2位:職員の人間関係が複雑

「仕事を教えてくれない・利用者の前で大声で叱る」など、上司からのパワハラやいじめが原因で退職する方も多いようです。介護職は20代〜50代と幅広い世代が働いているため、性格の不一致やすれ違いが起こりやすい職場です。

また、認知症で暴言・暴力が伴う利用者さんとの関わりもあり、職員1人ひとりが業務のストレスでピリピリしていることも、職員同士の衝突の一因のようです。

元介護士の声

20代 病院勤務<br>の介護士
20代 病院勤務
の介護士

少しでも「仕事ができない」と判断されると、無視などの嫌がらせを受けます。他職員が嫌がらせを受ける場面を見た時は辛かったです。

20代<br>特養の介護士
20代
特養の介護士

意見を聞かない人が多く、仕事中に職員同士の大喧嘩が多々ありました。仲裁に入るのも疲れます。

理由3位:休憩や休暇が満足にとれない

多くの介護施設で人手不足が常態化しており、介護士1人あたりの負担が増えています。休憩なしの勤務や残業は当たり前であり、一向に労働時間が改善されないことに不満を抱えているケースが多いです。

老人ホームのように、利用者さんの生活基盤が介護施設の場合、介護士はシフト制でお盆やお正月も勤務しなくてはなりません。家族との時間が取れず、プライベートと仕事のバランスに悩むことも少なくありません。

元介護士の声

30代<br>介護老人保健施設の介護士
30代
介護老人保健施設の介護士

常に人手不足で仕事量が多かったです。特に夜勤は手が回らず、利用者さんの転倒リスクを考えると不安で仕方ありませんでした。

30代<br>特養の介護士
30代
特養の介護士

サービス残業が毎日のようにありました。しかし施設側は求人を出す、入居者の制限をかける等の対応をしてくれませんでした。

仕事のストレスを解消して、辛い気持ちを抑える方法

介護士を辞めた方10名へのアンケートを参考に、辞めたいと感じる理由に対する対処法をまとめました。

Q. 体力的な負担を改善するには?

A. マニュアルを作成し、職員で共有する。

介護士が施設入居者の方と話している様子

自身に仕事の負荷がかかっている場合、業務をマニュアル化して他職員もその仕事をできるようにしましょう。

入浴やリハビリ送迎、ナースコール対応、レクリエーション業務のコツを書き起こし、どの職員も一定水準で介護できるようになれば、自身の負担が改善されます。

A. ボディメカニクスを学び直す。

介護士の業務から力仕事を取り除くことは難しいため、どのように身体にかかる負荷を分散するかが重要です。基礎として大まかなボディメカニクスは学んでいても、自分の体の動きに癖がついてしまい、無駄な負荷がかかっている場合があります。

一度、初心に戻って正しい身体の動かし方を意識してみましょう。介護技術を正しく活用することで、被介護者にとっても負担の少ない動作が可能になります。

A. 体力仕事が少ない職場を探す。

訪問介護などの利用者への介護は、施設入居の方よりも介護負担が少ない傾向にあります。介護職を続けたい方は、デイケアなどの職場に行けば、身体的負担が解消されるでしょう。

介護職から離れて、身体的負担を軽減する選択も視野に入れてみると、選択肢は広がります。そのためには、どのような業種が理想の働き方に近いのか・自分の性格に合った職業は何なのかを調べることが重要です。

Q. 人間関係の悩みを改善するには?

A. 介護士のコミュニティサイトを利用する。

スマホで情報収集をしている様子

介護士としての悩みをサポートしてくれる掲示板や、前向きな記事をまとめた情報サイトの利用をおすすめします。

掲示板で他の方の意見や改善策を聞いたり、辛い気持ちを聞いてもらうことで、人間関係のストレスを抱え込まずに済みます。実生活から離れた、「自分のことを知らない同じ職業の誰か」が相談相手なので、気を遣うこともなく自分の思いを打ち明けられます。

A. 録音などで証拠を残しておく。

人間関係の悩みの中でも、パワハラやモラハラなどの問題は特に慎重に対応しなければいけません。パワハラの実態を上司や所定の窓口にいつでも相談できるよう、まずは証拠を集めておきましょう。スマートフォンのアプリで録音することや、誰からどのようなハラスメントを受けたのかをメモや日記に残しておくことが有効的です。

Q. 休憩や休暇を取れない状況を改善するには?

A. 上司に業務改善の相談をする。

園長と話す保育士

上司に対応策を出してもらい、業務量を改善しましょう。上司が人事裁量権を持っていれば、人員の補充や業務の割り振りをしてくれる可能性があります。

相談する時は、勤務時間のどのタイミングで負担が大きくなるのか、休暇が取れないことに不満を抱えている職員の割合などの情報を活用しましょう。個人の意見ではなく、現場全体として何が問題点としてあげられるのか分析することで、効果的な解決策につながります。

即座の解決につながらなくても、話を聞いてもらうことで気分が軽くなるため、まず相談しましょう。

どうしても辞めたい・辛い気持ちが消せない場合は

自分がやりたいことを洗い出してみる

やりたいことが明確でないと、今後も同じ不満を抱えてしまう可能性があります。自身の目指すキャリアを明確にし、やりたい方向に向かっているのか、自己分析しましょう。

自己分析が1人でできない・うまく行かない場合は、「i3 アカデミー」の無料自己診断がおすすめです。無料診断やキャリアプランナーの無料相談など、お悩みにあった解決方法が必ず見つかります。

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もし仕事を辞めて、転職するならどうしたらいい?

まずは職種を変えるか検討しましょう。決める基準としては年齢が大きく関わってきます。

20代であれば、興味のある業界に飛び込んでも問題ありません。30代以降であれば、これまでの経験を活かせる職種の中で検討がおすすめです。

経験を活かせる次の職種

ケアマネージャー

介護の状況をヒアリングするケアマネージャー

ケアマネージャーは介護ケアプラン作成などを主業務とし、介護現場での経験や知識を活かしやすいです。また、施設ケアマネージャーとして新たなステージでの活躍が可能です。

看護師

別の国家資格が必要になりますが、利用者の身体的なサポートをするという面で同じであり、介護の経験を活かせます。また、同じ職場で働く機会も多いため、転職前から仕事内容をイメージできるでしょう。

どこで仕事を探すのがいいの?

仕事を探す方法は大きく3つの方法があります。

種類転職サイト転職エージェント人からの紹介
特徴サイトに掲載された求人から選び、自分で応募キャリアアドバイザーのサポートを受けつつ転職先を探す知人や社員の紹介・推薦により選考が始まる
メリット好きなタイミングで、行きたい企業に応募可能転職先調査などを代行してもらうため、手間がかからない書類選考が免除される場合がある
デメリット求人に応募が殺到し、反応がないことがあるアドバイザーに当たり外れがある不採用時に紹介者との関係が悪化する可能性あり

どの方法を選ぶにせよ、まずは第三者に相談をして客観的な意見を聞いてみることをおすすめします。

みんなはどうしてる?介護士の退職・転職状況

令和3年度介護労働安定センター「介護労働実態調査」より引用

「介護労働実態調査」を見ると、2021年度の介護士の離職率は14.3%であり、全常用労働者の平均離職率と概ね同じ数字といえます。

介護士の離職率は15年前には約20%だったことを考えると、年々減少傾向にあることが分かります。ただし「他産業に比べ労働条件等が良くない」という理由から人材不足を感じる介護施設が多いのも事実です。

身体的負担が多い点や深刻な人手不足が原因で悩みを抱える介護士は少なくありません。あなた以外にも辛い職場を経験し、他の業界・職業へ転職する方が多いようです。

仕事を辞めた人、転職した人の体験談

20代・新卒の方の体験談①

在宅介護で老人に質問をしている介護士

転職先:在宅介護サービスの福祉用具専門相談員

なぜその職業に転職したのか

福祉用具<br>専門相談員
福祉用具
専門相談員

祖母の自宅介護の経験から、在宅高齢者支援について考え始めたのがきっかけです。入居者の在宅への思いの強さを感じ、転職を決意しました。

転職してよかったこと

管理職を経験できたことです。前職では介護主任の役職しかなく、先輩がいる中で主任になることはほぼ不可能でした。転職後は、社員育成などを経験できています。

転職して後悔したこと

休日出勤があることです。福祉用具のレンタルが主な仕事のため、急な不具合や突発的な事故などで依頼が入ります。ただし、頻度は十分に我慢できる程度です。

20代・新卒の方の体験談②

事務作業をしている女性

転職先:介護施設の総務事務

なぜその職業に転職したのか

介護施設の<br>総務事務
介護施設の
総務事務

前職では退職者が多く、常に2〜3人分の仕事を抱えていたからです。特に夜勤は手が回らず、利用者の転倒リスクを考えると、安心して仮眠をとることもできませんでした。

転職してよかったこと

介護現場の職員や上司から、信頼されたことです。転職後はとにかく現場の声を聞き、現場の雑務を改善しました。その結果、現場の負担を削減でき、上司からも仕事を評価してもらえました。

転職して後悔したこと

年収が下がったことです。夜勤手当がなくなったことで年収が減りました。今の仕事量と収入が見合っていないので、今後給料面について交渉しようと考えています。

30代の方の体験談①

電話をかける営業マン

転職先:小売業の営業職

なぜその職業に転職したのか

小売業<br>の営業職
小売業
の営業職

自分の能力を活かせる環境で働きたかったからです。コミュニケーション能力に自信があったため、それを活かせる営業職を選びました。

転職してよかったこと

自分らしく働けている点です。常に動き回る営業の方が性格的に向いています。日々現場が変わる業界に転職したことで、自分の力を発揮してのびのびと仕事ができています。

転職して後悔したこと

覚えなければいけない専門的知識が多いことです。最初のうちは学生のように予習復習の勉強が必要な毎日が続き、プライベートな時間を取れませんでした。

30代の方の体験談②

お客様の話を聞くOL女性

転職先:介護認定調査員

なぜその職業に転職したのか

介護認定調査員
介護認定調査員

自分の成長が感じられなくなったためです。新たな知識・経験を得られる職場を選びました。

転職してよかったこと

成長を感じられることです。職種が変わったため、現場の介護士では経験できない新しい知識に触れることができます。

転職して後悔したこと

通勤時間が長くなったことです。介護職は全国どこでも働く場所がありますが、現職は1箇所にしか事務所がありません。結果として、片道1時間弱の通勤時間がかかっています。

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