漆沢 祐樹社長 「次なるキャリアの選択肢」 |日本のリカレント教育を牽引する経営者が語るキャリアとは

今回インタビューを伺ったのは、
本メディアサイト『THE CAREER』を運営する、株式会社パーソナルナビ 代表取締役社長の漆沢 祐樹(うるしざわ ゆうき)さんです。

「人の可能性をもっと豊かに」を企業理念に掲げる漆沢社長が、これまでに築いてきたキャリアと、今後の理想とする日本の姿についてお聞きしました。

【現在】キャリアに自由な選択肢を


—パーソナルナビの事業内容を教えてください


弊社は、「人の可能性をもっと豊かにという企業理念をもち事業を展開しています。社会人を2、3年経験した第二新卒や、中途世代と呼ばれる25歳前後の年齢層の方々を主な事業対象とし、その方々の可能性を広げるために‟キャリアチェンジ”にフォーカスした支援をさせていただいています。

今の若い世代の方々が抱えている最も大きな課題は「世の中にある無数の選択肢に気付いていない」という点だと捉えています。一度就いた職業を変えることは難しい、私にはこの仕事しかできないと決めつけてしまっている人が非常に多いです。その思い込みは、自らの可能性を閉ざしてしまっている原因の一つです。

今は、社会人の入口がどんな職業であったとしても、次なるキャリアの選択肢を自由に選べる時代です。「変わりたい」「今の状況を変えたい」そんな想いを抱いている方々に対して、情報に触れることのできるメディアサイトの運営や、学ぶことのできる環境の提供、学びを実践できる場所(企業)を紹介できる体制を整えることで、本気でキャリアチェンジを望む方々が成長し、自分の力で数ある選択肢の中から活躍できる新しいステージを選選択することができるよう支援を行っています。


— 経営の中で意識していることは何ですか。


可能性を示す立場として、その人の‟過去”に触れることを意識しています。年齢関係なく「何かを変えたい」と想う気持ちの裏側には、その人の過去が深く関係しています。

僕は、昔から人を見たときに「この人は過去にどういう経験をしてきたのか」「どんな考え方をしてきたのか」ということに注目して、そこからその方の可能性や輝くヒントを探るようにしています。それは、内部の生徒や社員、外部の経営者の方々も同じで、過去にしてきた経験はその人の「今」を築いた大事な要素であって、未来のヒントになるので意識して聞くようにしています。

過去の良い経験、悪い経験の全て含めてその人の今があると思うので、ポジティブな未来を描くためにも「今の自分がどう形成されてきたか」という点に目を向けて、自分自身の過去と向き合う機会を作ることを心がけています。失敗した出来事も「なぜこうなったのか」原因や要因を探らない限り、また同じ失敗を繰り返してしまいます。成長するためにも過去を振り返り、失敗から何を学んだかという視点に切り替えることの大切さを今後も私たちの教育の中で伝え続けていきたいです。

【過去】失敗しても‟経験”


— 起業をしようと思ったきっかけは何ですか。


私は、幼い頃から『子どもに誇れる仕事がしたい』という人生のスローガンを掲げていました。幼稚園のときに、人のために命をかける消防士のかっこよさに憧れ、高校卒業後は消防士を目指すことのできる専門学校に進学しました。

18歳のとき、もっと自分の可能性を広げたいと思い、友人の紹介で「NTT光回線の完全歩合の営業」を始めました。始めてみると色々な経営者の方々と繋がるきっかけができ、その中の1人の経営者の方に「人生は大きく分けて、雇う側か雇われる側かのどちらかしかない。」という言葉をいただきました。私の中で、‟起業”という新しい選択肢に出会えた瞬間でした。

その方との出会いがきっかけで、挑戦する事業によっては「子どもに誇れる仕事」をしたいという自分の信念を貫くことができると思い、19歳で会社を興す道を選びました。


— 挫折や、苦しかった経験はありますか?


もちろんたくさんあります。何かに挑戦する時は必ず「成功」か「失敗」のどちらかの結果が伴うものだと思っています。常に何かに挑戦するときは、成功したら‟経歴”、失敗しても‟経験”になるという意識で、20代はとにかく色々な経験を積んできました。

これまでで一番”壁を感じた経験”で言うと、新しい事業を始めるために投資や借金をくり返し、6000万円もの借金を抱えたことです。その莫大な金額の返済は想像以上に大変で、何度も逃げたいと思いました。ただ、私には「やる 」という選択肢しか残されていなかったので無我夢中に突き進みました。

生きていると逃げ出したくなることもあります。でも結局は、その経験を乗り越えないと何も始まらないし、次に進むことができません。辛い経験を乗り越えたという事実は、今後の人生の大きな自信に繋がり、‟いつか同じように悩む誰かの勇気になる”と信じています。

【未来】教育者として伝え続ける


— 会社としての展望や目標を教えてください。


現在の主なキャリア支援の対象である20代~30代前半の方々が、『可能性を豊かにするためにできることは何か』ということを今まで以上に追求し、質の高い教育を提供し続けていきたいと考えています。

大きく変わると書いて『大変』という言葉があります。私たちは伝えることはできますが、結局は本人が変わらないと教育の意味がありません。自分を大きく変えることは本当に難しいことだと思います。なので弊社は、変わるためのきっかけを与え、変わるための力を高めさせることに注力し続けます。

自分を変えるためには、まずは『自分で考えられる人間になる』ことが大切です。自分の人生を、他人や会社に依存して選択するのではなく、自分自身で考えることのできる思考力を身につけていくべきだと考えています。そのために「TQ力(論理的思考力×批判的思考)」を高める事業を展開しています。自分の人生と向き合い、自分の力でキャリアアップをしていけるような人財を育てることを目指し、今後もさらに教育の場を広げていきたいと考えています。


— 個人として挑戦してみたいことはありますか?


まずは3年の期間で、40代・50代の私の人生の先輩から教わった、‟心に響いた言葉”や、‟尊敬する考え方を、20代中盤の方々に向けてどんどん発信していきたいと思います。

その後は、大学生に向けて、‟TQ力の重要性”や”社会人としての経験”、‟自分のキャリアを考えるきっかけ”を、どこかの大学で教授や准教授になり、授業の中で私の言葉で伝えていくという目標を掲げています。

いずれは大学だけでなく、高校、中学校、小学校まで対象年齢層を広げて、『伝える』という活動を続けていきたいという個人的な夢があります。

【SDGs】世界に胸を張れる日本へ


— SDGsへの取り組みを教えてください。


SDGsの中で意識している項目は、4番の「質の高い教育を」と8番の「働きがいも経済成長も」の2つです。

義務教育という点で見ると、日本の教育は優秀かもしれませんが、やはり「思考力」という点で見ると、世界に劣っている印象を受けます。また、日本は昔から周りに対して、遠慮や配慮をするように社会に育てられているため、自分の考えを主張する場面では非常に弱いのが現状です。日本をリスペクトしているアジアの国の方々にもさらに胸が張れる日本であるためにも、TQ力を高めていけるような質の高い教育事業を届けていきたいと考えています。


「働きがいも経済成長も」の項目では、5年後の実現を目指して、アジアの国々に対して日本の教育を届ける活動を広めたいと考えています。発展には人々の協力や勢いが必要不可欠です。教育を通して、今後のアジアの中心になるであろうマレーシアやインドネシアの経済成長に貢献していけたらと思っています。まずは、日本の教育に集中し、ゆくゆくは現代のSNSやChatGPTなどの情報技術を駆使しながら、アジア展開を目指し事業拡大を図っていきたいと思います。

【若者へ】きっかけに出会うための勇気


― 若い世代の方々へメッセージをお願いします。


この仕事をしている上で大切にしていることは、「人との出会いで可能性は広がる」ということです。もちろん、自分自身が大きく変わることが大前提ですが、やはり‟誰と出会うか”ということは人生においてものすごく重要なことです。

『人との出会い』には、偶然や奇跡、運命など自分の手には負えない部分があり、データでは図ることができません。なので今、「自分には選択肢がない」、「これしかできない」と悩んでいる人がいるのならば、まずは‟成功している人”に会いに行き、触れるという体験をすることをおすすめします。

自分の人生を変えるきっかけになる人は必ずいます。まずは、そういった方に話を聞きに行くなど、一歩踏み出す行動を起こしてほしいと思います。1人で変わることは難しいですが、人との出会いがあったからこそ、私自身も大変な壁を突破することができました。自分の人生を応援してくれる人と出会い、長く付き合うことが人生をより豊かなものにする鍵になります。


漆沢社長へのインタビューを終えて

今回、漆沢社長にインタビューさせていただいて、変化することの難しさと大切さ、教育に対する熱意や展望について伺うことができた。「人の可能性をもっと豊かに」を企業理念に掲げる漆沢社長の、人そして未来に向き合う姿勢から、日本の教育業界を背負う覚悟が伝わってきた。

現状を変えたいとは思っているが、「何をどう学べばいいか分からない」というリスキリング迷子が今日本だけでなく世界中で増えている。立ち止まっているだけでは現状を変えることはできない。失敗を恐れずに進み続ける行動こそが、可能性を掴む鍵になるのだと今回のインタビューを通して改めて認識することができた。

社会に出てから何かを学び直すことは勇気のいることかもしれない。だが、一歩踏み出した者だけが掴むことのできる未来がある。自分から変化を追い求めることで選択肢は無限に広げられるということを、引き続き本メディアでも伝えていきたい。

toyoshima

インタビュアー 兼 ライター

株式会社パーソナルナビ メディア事業部。
四年制大学の教育学部を卒業後、都内小学校に勤務。
退職後は教育者の経験を活かし、20代~30代を中心にキャリアアップ支援事業を行う現職に就く。

会社概要

【企業名】
株式パーソナルナビ

【事業内容】
キャリアパスメディア事業 / キャリアスクール事業/キャリア講師育成事業 /

キャリア派遣転職事業/Ed Tech開発事業(対話型AIチャット活用)

【代表氏名】
漆沢 祐樹(うるしざわ ゆうき)

【代表経歴】 
1988年生まれ。東京都出身。
幼いころから「子どもに誇れる仕事がしたい」との理念を抱き、18歳でフルキャストの元役員と出会い、起業への興味をもつ。
NTTインターネット回線の飛び込み営業を始め、19歳で起業。
20歳で仲間とともに営業代理店の仕事を始めて法人登記し、「UCOM光(USENグループ)」の営業でタッグを組んでいたパートナーとともに代理店ナンバーワンを獲得。
その後、投資助言業の会社や不動産会社などいくつかの会社で役員を務め、事業譲渡やM&Aを経験。
2020年からは「i3 experience」の顧問を務め、「i3 business academy」のメイン講義を担当。
現在はイギリス国立大学の海外MBA candidateでありながら、日本のキャリアリテラシー問題の解決に取り組む株式会社パーソナルナビの代表取締役を務めている。


【本社所在地】
〒104-0061
東京都中央区銀座2-11-8ラウンドクロス銀座2丁目12階


【企業HP】
https://personal-navi.jp/

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