この記事は、低賃金やパワハラで悩んでいる保育士向けに辛い職場環境の改善方法をまとめています。今の職場に残るべきか、転職を検討するべきかが判断できるようになります。
監修者 | 経歴 |
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豊島 | 株式会社パーソナルナビ メディア事業部。 キャリアアップメディア『THE CAREER』 のインタビュアー兼ライター。 四年制大学の教育学部を卒業後、 都内公立小学校に勤務。 退職後は教育者の経験を活かし、 20代~30代を中心にキャリアアップ支援事業を行う現職に就く。 |
保育士を「辞めたい」「辛い」と感じる理由
独自で行ったアンケートを基に、保育士の業務を行う中で、辞めたい・辛いと感じる理由をまとめました。
理由1位:先輩保育士との人間関係
先輩保育士や園長との保育観の違いから、職場での人間関係に悩むことが多いようです。10年前の保育の教育が、新卒保育士が受けた教育とは違うことも多々あります。ただ、アップデートされた情報を先輩に意見することが難しく、お互いに相手に何となく嫌な印象が残ってしまうケースもあります。
また、園によっては「業務の完了に関わらず、先輩保育士より早く帰らない」「後輩保育士は出勤時間の1時間前には到着する」などの暗黙のルールがあり、先輩からのプレッシャーを感じる保育士も少なくありません。
元保育士の声
保育士のほとんどが、その園の卒園児という状態でした。私は卒園児ではないという理由で、会話に入れてもらえず、先輩から目をつけられていました。
園長と先輩保育士の考え方が違い、それぞれが正しいと思う内容を押し進めるあまり、職場の雰囲気が悪化しました。
理由2位:給与に不満がある
身体的な負担が多い割に給与は低い、と不満を抱く保育士が多いようです。元気な子供たちと一緒に身体を動かす職業柄、腰痛や身体の不調につながることもあります。そのため、待遇が見合っていないことで、保育士を続けることに不安を感じる傾向にあります。
また認可外保育園では公的補助金がなく、保育料のみで経営していることから、園の運営自体が精一杯で保育士の給与が低いことがあります。経営状態によっては、給料が支払われないケースもあるので、トラブルを避けるためにも就職前の下調べが重要です。
元保育士の声
の保育士
給料が少なく、生活が苦しかったです。保育士の仕事は楽しくやりがいもありましたが、退職を決意しました。
保育園の保育士
園の経営が悪化しており、予定されていた昇給もなくなりました。今後もこの園で不安定なまま働くことが怖いと感じました。
理由3位:自分の保育に自信が持てない
学んだ知識を保育で実践しても上手くいかず、自分は保育士に向いていないのではないかと悩む方も多いようです。子供たちが懐いてくれない、正しい叱り方が分からない結果、自分の仕事内容に不安を抱くことにつながります。
元保育士の声
保育園の保育士
新卒2年目で先輩が辞めてしまい、保育を全て任されました。経験が少なく、うまく保育ができているのか不安でいっぱいでした。
先輩に急に保育を任され、保育の仕方を監視されることがありました。子供が騒ぎ始めた時は、どうすれば良いのかわからずパニックでした。
仕事のストレスを解消して、辛い気持ちを抑える方法
保育士を辞めた方10名へのアンケートを参考に、辞めたいと感じる理由に対する対処法をまとめました。
Q. 人間関係の悩みを改善するには?
A. 園長(施設長)に相談する。
上司や同僚の普段の態度について、施設長に現状を伝えてみましょう。人間関係について相談すれば、配置を変更するなどの解決策を考えてもらえる可能性があります。
いじめやパワハラがある場合は、実際の記録と共に報告することが有効的です。問題解決につながるよう、物的証拠をとるように心がけましょう。
保育観のズレや教育内容の違いによる意見の相違の場合、しっかりとお互いの考えを明確にすることが重要です。保育士として「子供たちに良質な保育を」という根本は他の保育士も同じはずです。大枠が共有できていれば、方向性が異なっていてもお互いの意見を尊重し合えます。
Q. 給与が低い状況を改善するには?
A. 取り組みやすい副業を行う。
保育士という職にやりがいを感じ、今後も続けていきたいと考えている方は、無理のない範囲で副収入を得ることをおすすめします。
具体的には、保育士の経験を活かせるベビーシッターがおすすめです。ただし、公立保育園の場合は公務員扱いになり、副業が禁止されているので、事前に確認しておきましょう。
また、副業では新しい事に挑戦することもできます。自分がチャレンジしたいと思っていた仕事で力試しすることも可能です。保育士以外のキャリアの道が見つかるかもしれません。
A. リーダーや主任保育士を目指す。
キャリアアップ研修を受講し、役職に着くことができると国からの手当が受けられる仕組みがあります。処遇改善等加算IIという制度で、一定の要件を満たすと月額5,000円〜40,000円が受け取れます。
詳しい情報は厚生労働省のHPを確認し、勤める保育園の方針と合わせて検討してみましょう。
A. 組合を使って給与改善を働きかける。
労働組合に加入している場合は、組合を通じて給与改善・未払い残業代の請求などができるケースがあります。相談をスムーズに行うためにも、契約書や給与明細を保管しておくと良いでしょう。
Q. 保育に自信が持てない状況を改善するには?
A. 職場以外でのインプットを増やす。
職場で保育の仕方を聞けなくても、外部の勉強会や保育セミナーで別園の保育士に質問できます。勉強会が苦手な方は、保育に関する本を読み、成功事例を自身の保育に活かしてみましょう。
A. 上司や同僚の保育観を聞いてみる。
保育観は保育士ごとに異なるので、保育観を聞くことで引き出しが増え、自身の保育に活かすことができます。
アンケートの回答結果にも「同僚との会話を通じ、怒らない教育もあると知ることができた」という方がいらっしゃいました。
どうしても辞めたい・辛い気持ちが消せない場合は
自分がやりたいことを洗い出してみる
やりたいことが明確でないと、今後も同じ不満を抱えてしまう可能性があります。自身の目指すキャリアを明確にし、やりたい方向に向かっているのか、自己分析しましょう。
自己分析が1人でできない・うまく行かない場合は、「i3 アカデミー」の無料自己診断がおすすめです。無料診断やキャリアプランナーの無料相談など、お悩みにあった解決方法が必ず見つかります。
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もし仕事を辞めて、転職するならどうしたらいい?
まずは職種を変えるか検討しましょう。決める基準としては年齢が大きく関わってきます。
20代であれば、興味のある業界に飛び込んでも問題ありません。30代以降であれば、これまでの経験を活かせる職種の中で検討がおすすめです。
経験を活かせる次の職種
ベビーシッター
保育士は子どもの発達過程や関わり方を理解しており、保護者とのコミュニケーションの取り方も経験しています。ベビーシッターではどちらのスキルも活かすことができます。
カウンセラー
保護者対応の経験を活かせます。保護者からの相談を受ける機会が多いため、保育で培った子どもの心理などを参考に、保護者の気持ちに寄り添った対応ができます。
どこで仕事を探すのがいいの?
仕事を探す方法は大きく3つの方法があります。
種類 | 転職サイト | 転職エージェント | 人からの紹介 |
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特徴 | サイトに掲載された求人から選び、自分で応募 | キャリアアドバイザーのサポートを受けつつ転職先を探す | 知人や社員の紹介・推薦により選考が始まる |
メリット | 好きなタイミングで、行きたい企業に応募可能 | 転職先調査などを代行してもらうため、手間がかからない | 書類選考が免除される場合がある |
デメリット | 求人に応募が殺到し、反応がないことがある | アドバイザーに当たり外れがある | 不採用時に紹介者との関係が悪化する可能性あり |
どの方法を選ぶにせよ、まずは第三者に相談をして客観的な意見を聞いてみることをおすすめします。
みんなはどうしてる?保育士の退職・転職状況
保育士の離職率に関するデータは、最新のもので2017年のものしかありませんが、私営保育所勤務が10.7%、公営保育所勤務が5.9%で平均9.3%となっています。
2013年のデータと比べると、離職率は減少傾向にあることが分かります。ただ、今後は少子化の影響も考えられるため、不安定になることも予測されます。
厚生労働省が行った調査によると、退職理由として最多の3割を占めるのが職場の人間関係であり、それに続く形で「給料が安い」「仕事量が多い」「労働時間が長い」ことが挙げられています。
あなた以外にも辛い職場を経験し、他の業界・職業へ転職する方が多いようです。
仕事を辞めた人、転職した人の体験談
20代・新卒の方の体験談①
なぜその職業に転職したのか
相談員
保護者対応を極めたかったからです。保護者の真意は別にあるのではないかというところに興味を抱き、保護者の心のケアをする仕事に就きました。
転職してよかったこと
責任が軽減されたことです。クラス担任は命を背負うためストレスが大きかったのですが、児童館はその日限りなので、仕事に集中できます。
転職して後悔したこと
シフト制の勤務体制のため、まとまった休みがとれません。そのため予定を立てづらく、友人と遊びに行くことが難しくなりました。
20代・新卒の方の体験談②
なぜその職業に転職したのか
給料が安くなかなか昇給できない上に、数年前から正職員登用を辞めた園だったからです。その上、仕事量と責任は正職員と同じだったので、退職を決断をしました。
転職してよかったこと
給与が安定したことです。正職員になったため、退職金・育児休暇の手当・育児時間の取得など補助制度を受けられ、子育てしながらも長く働けると感じています。
転職して後悔したこと
同じ保育士でも、仕事内容に変化があったことです。療育とクラス保育では仕事の内容が違います。療育のほうが自分に向いていると思いました。
30代の方の体験談①
なぜその職業に転職したのか
の看護師
残業が多いためプライベートの時間が確保できず、体力にも不安を感じたからです。行事や研修参加などによる休日出勤が多々ありました。また、年齢を重ねるごとに体力的な不安が増したため、退職しました。
転職してよかったこと
看護師資格と経験のおかげで、様々な求人に対応ができ、働き方の幅が広がったと感じています。看護職も体力は必須ですが、保育士に比べて不安は減りました。
転職して後悔したこと
特にありません。保育士と看護師はかけ離れた業種ではないため、仕事のギャップも少なかったです。
30代の方の体験談②
なぜその職業に転職したのか
の卸売り
新卒なのに仕事を教えてもらえず、給与が少なく昇給が見込めなかったからです。同僚・園児・保護者にも恵まれたとても良い職場でしたが、退職を決意しました。
転職してよかったこと
社会勉強になったことです。保育以外の業界を経験したことで、自分のキャパシティや向き不向きがわかり、良い経験になりました。
転職して後悔したこと
パソコン業務に向いていなかったことです。パソコン操作はできましたが、表の見間違いなどのミスが多く、自分の性格に合っていないと感じています。
40代の方の体験談①
なぜその職業に転職したのか
の保育士
認可外保育所は、アットホームな雰囲気で保育士同士も仲が良く、働きやすい職場でした。しかしとにかく給料が安く忙しかったので、認可保育所に転職しました。
転職してよかったこと
給与が上がったことです。同じ仕事内容でしたが100万円以上アップしました。給与が上がったことでモチベーションもアップし、気持ちにもゆとりができました。
転職して後悔したこと
休みの融通が効きづらくなったことです。子どもの予定や急な用事でも認可外保育所は対応してくれましたが、認可保育所は手続きをふまないと対応してもらえない点が面倒だと感じています。
40代の方の体験談②
なぜその職業に転職したのか
保育園の保育士
引っ越しを機に、通勤時間が長くなったためです。引越し前よりも1時間早く出勤し、帰りは通勤ラッシュのため、毎日疲労困憊でした。
転職してよかったこと
持ち帰りの仕事がなくなったことです。未満児担当だったため、勤務時間内に資料を作れず、持ち帰って仕事をする事が多々ありました。現職では、職場で作業が完結するので、ストレスも溜まりません。
転職して後悔したこと
園の雰囲気やシステムについて、事前に調査しなかったことです。暗黙の了解や使用したことのないツールがあり、転職してすぐの頃は戸惑いました。
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