川崎 貴子社長「自分の人生をどう生きるか」 |働く女性の成功と幸せをサポートし続ける経営者が語るキャリアとは

今回お話を伺ったのは、
Lintos株式会社の代表取締役社長、川崎 貴子(かわさき たかこ)さんです。

25歳で起業し、女性のキャリア支援から恋愛や結婚出産などプライベートの幸せに寄り添い続けてきた“女のプロ”と呼ばれる川崎社長の、女性支援に対する想いやご自身のターニングポイントについてお聞きしました。

【現在】仕事もプライベートも諦めない


—川崎社長の事業内容について教えてください


Lintos株式会社の代表取締役として、働く女性たちの成長と成功に携わる仕事をしています。女性のためのカウンセリング事業、コンサルティング事業、教育事業などをメインの事業として展開しています。

例えば、「女性管理職のモデルケースがいなくて管理職を目指す女性が育たない」という企業の課題に対して、女性がライフステージと仕事を照らし合わせても自分のキャリアを諦めなくて済むような、評価制度や福利厚生などを企業と一緒に考えて改善していくというようなことを行っています。他にも男性管理職に女性のマネジメント方法を教えたり、私が外部の女性上司として依頼先の女性社員のキャリア相談に乗ったりというような業務も行っています。

個人としては、その他3社の経営サポートに携わりながら、『働く女性の成功・成長・幸せのサポート』を理念に、仕事を頑張る女性たちがプライベートでも幸せを掴むための支援事業を行っています。ブログやメルマガでの情報発信に加えて、『魔女のサバト』や『キャリ婚』、個人カウンセリングなどを展開しています。

『魔女のサバト』は、働く女性の婚活を支援する日本最大級の婚活予備校です。恋愛や結婚で躓き、悩みを抱える女性たちが、“幸せ体質になるための勉強会”をオンラインで定期的に開催しています。実際に参加した女性たちから「5年ぶりに彼氏ができました!」「結婚できました!」という幸せな報告がたくさん寄せられるので、支援している側としては非常にやりがいがあり嬉しく思っています。

そして、真剣に婚活に臨む女性たちが、悪質な男性に騙されず安心して婚活に臨めるようにと作ったのが『キャリ婚』という働く女性向けの婚活サイトです。このサービスは、従来のマッチングアプリやサイトとは違い、“女性側が登録している男性を選ぶ仕組み”になっています。登録できる男性は、事前面接を通過した人のみで、全員が共働き思考なので働きたい女性との相違が生まれません。本人同士では質問しづらいことも事前に運営側が確認しているので、女性は安心してアプローチでき効率的に婚活をすることができます。

今後も働く女性に寄り添いながら、幸せを掴むことのできる女性を一人でも多く輩出していきたいと思います。


— 経営の中で意識していることは何ですか。


経営や誰かと仕事をするうえで大切なことは『同じ夢を共有しているか』という点です。なので、私は理念に共感してくれる人と一緒に仕事をして同じ船で頑張りたいという気持ちをもっています。

現在は男性経営者や男性上司向けに「女性マネジメント方法」を講演したり、相談に乗ったりしていますが、その根幹も『働く女性の成功・成長・幸せのサポート』の理念に繋がっています。男性上司が女性の考え方や受け取り方の理解者になることで、結果的に働く女性たちのサポートになる事業をしています。

理念をぶらさず、やりたいことすべてに手を伸ばし続けることも楽しいですが、乳がんを患ったことをきっかけに『やるべきことに対して優先順位をつける』ということも大切にするようになりました。「重要度」と「緊急性」を整理して依頼された仕事を引き受けることも意識しています。

【過去】自分の力ではどうしようもないこと


— 起業をしようと思ったきっかけについて教えてください。


若いころから「起業したい」という漠然とした気持ちを抱いていました。ちょうど私が社会人になるタイミングが就職氷河期と重なり、女性が思うように就職でき、仕事で活躍するというような時代ではなかったんです。“成功してプライベートも仕事の幸せも全て手に入れたい”という願望は、最終的には自分の力で叶えるしかないと思い、30歳での起業を目標にしていました。

高校卒業後に買っていた株が運よく跳ね上がり、手持ち資金が300万円になったことをきっかけに「このチャンスを手にしよう!」と知り合いの女性とeラーニングのビジネスをはじめました。結果、そのビジネスはうまくいかずにすぐとん挫することになってしまいました。その後、パソナグループに入社し、5年間派遣の営業経験を経て25歳で20代のための派遣会社を設立したのが私の経営者人生のはじまりです。

20年間かけて人材紹介・派遣事業、採用企業に対してのコンサルティングなど多くの事業を展開し会社を大きくしていきました。知り合いの経営者の男性から「人材を紹介するだけじゃなくて、男性管理職が女性のマネジメントに困っているから本を書いてみなよ」という言葉をいただいたことをきっかけに執筆活動やブログなども開設しました。その後、女性に女性の成功・成長の支援に加えて「幸せのサポート」までできる会社を目指して現在の株式会社Lintosを設立しました。


— 経営をしていた中でどんな壁にぶつかりましたか?


30代は本当に暗黒時代でした。一つ目の会社経営をしている時にリーマン・ショックの影響を受け倒産寸前まで追い込まれ、離婚も経験しました。その離婚した夫が心不全で突然死したことは私にとってとても辛い経験でした。円満離婚で、リーマン・ショックで経営が傾いていた時も自分の人脈から人を紹介してくれたりと力になってくれる心強い存在でした。

元夫は私が出会ってきた人の中でも一番といっていいくらい、エネルギーに溢れ、たくましく、相当なことがあっても死なないような人だろうと思ってました。そんな人が突然死をしてしまったことで「人はいつか死ぬ」「自分の努力ではどうにもならないことがある」という現実を目の当たりにしました。

その辛い経験を乗り越えたあとに、私自身も44歳で乳がんを患いました。乳がんだと医師から宣告されたときは、雇っている社員たちの生活や幼い子供たちの面倒はどうすればいいのだろうと、初めて肝を冷やしました。でもその経験をしたことで改めて、人生は有限であって自分がやるべきことに魂を込めて取り組まなくてはいけなと気づかされました。

【未来】早い段階からキャリア教育を


— 今後の展望や目標を教えてください。


働く女性たちにとっての働きやすい環境が整っているか、生きやすい世の中なのかという点に関して、日本はまだまだ後進国に近い状況で問題は山積みだと私は感じています。

そこで今後は、普段私が企業に対して話している「女性の仕事と家庭の両立」「女性が出世して役職に就くメリット」「癌を患った体験談」などの話を、中学生・高校生くらいの若い世代に向けて発信し、キャリア教育の充実を図っていきたいと考えています。

例えば、女性特有の癌(子宮頸がんや乳がんなど)は30代・40代などの働き盛り、子育ての真っ最中に患ってしまうリスクが高くなります。そのくらいの時期だからこそ、保険関係を後回しに考えていたり、検診を後回しにして結果的に手遅れになってしまうなどのケースが多いです。一人の癌経験者として、そういった情報をより多くの女性に発信していき、様々なリスクを鑑みた早い段階のリスクマネジメントをもっと多くの方に語ることのできる活動を広めていきたいです。


女性は人生に対してどう向き合っていくべきだと思いますか?


理想は、中学生・高校生くらいの年齢から自分の人生について真剣に考える機会をつくるべきだと思っています。「自分はどんな人生を生きていきたいのか」「自分にとっての幸せとは何か」と若いうちから自分のキャリア形成を意識して、高校や大学進学の進路選択、就職先の選択をしていくといいと思います。

私は、日々多くの女性たちの悩みや相談を聞いていますが、30代後半の方や40代の方から「仕事を頑張り続けていたら気づいたら婚期を逃してしまった」という相談がよく寄せられます。女性が大きなプロジェクトを任されるタイミング結婚や出産の適齢期は残念なことに被ってしまうことが多いのです。

女性は、一緒に働いている同期の男性の方よりも、先を見据えて巻いて巻いて考えて行動や判断をしていかなければいけませんだからこそ、早い段階から自分の人生の幸せやキャリアプランについて考えることの必要性について伝えていきたいと思っています。

【SDGs】女性がもっと働きやすい世の中を目指して


— SDGsの中で関心のある項目を教えてください。


私は女性支援の事業をしているということもあり、「5番:ジェンダー平等を実現しよう」の項目に共感しています。現在の日本はGDP(国内総生産)の回復などのいい面もありますが、2023年の【ジェンダーギャップ指数】は世界125位で過去最低を記録するなど、先進国である反面まだまだ深刻な課題を抱えている国だと思います。

女性の出世率や管理職が少ないという大きな課題に対しては、日本の根本的な働き方を変えイノベーションを起こすことが必要になります。それと同時に、女性自身も将来の不安やマイナス面以外に、自分にとってプラスになることに目を向ける思考も重要になると思います。『チャンスに挑戦した』という経験が自信に繋がり、その後の挑戦するスキルを育てることに繋がります。たくさんの試練を乗り越えることで、成功体験が生まれ、さらなる成長のステージが与えられるので結果的に幸せになることができると私は信じています。

女性が出世をして多くの収入を得ることで、人生のバリエーションや選択肢が広がります。役職に就くことで責任も伴いますが、女性が働きやすいようにルールやチームの体制を変えることができるという前向きな面にも注目してほしいです。視野を広げて、世の中で活躍している女性たちをモデルケースにするのもいいでしょう。今の10代~40代の女性たちがもっと働きやすい世の中になるように、先代の女性たちが舗装してくれていた道を、さらに歩きやすいように舗装する活動を続けていきたいと思っています。

【若者へ】興味のあることにはまず挑戦を


― 若い世代の方々へメッセージをお願いします。


とにかく自分が少しでも興味のあることは挑戦してみてください。「自分の得意や好きを理解している」ということが、最終的にその人の人生を豊かなものにします。若いときから自分自身を理解することはそう簡単なことではありません。多くの体験や多くの人々の信念に触れて、学びながら自分探しをして欲しいと思っています。

一番怖いのは、「何が好きなんだろう」「どうしたらいいのだろう」と自分が分からなくなることです。頭で考えていたら見えてくるものも見えてきません。実際に体験することで、自分の得意なこと、向いていないことに初めて気が付くことができます。

好きなことだけをして生活していける人はほんのわずかです。なので『自分の「好きなこと」と「人よりも得意なこと」が交わっている部分』を早めに見つけることが、人生の幸せに繋がると私は思っています。交わりの部分を見つけるためには、自分の好奇心や挑戦する勇気、一定期間真剣に取り組むことが非常に重要です。

得意なことは自分だけでは気づきにくいこともあります。上司や友人などの身近な人々から、他の人よりも優れている点について言及してもらい自分の強みを理解しましょう。興味のあることには勇気をもって挑戦し真剣に取り組む。自分の強みを把握してさらに磨きをかけていく。この2つのことを若いうちから意識して行動するだけで人生は幸せな方向に向かっていきます。


川崎社長へのインタビューを終えて

今回、川崎社長にインタビューをさせていただいて、幸せを掴むための行動や、人生という限られた時間をどう生きるべきかお話を伺うことができた。何が起こるか分からないのが人生だが、自分がどんな人生を歩みたいのかを早いうちから想像し、実現させるための選択、行動を起こすことが重要だと改めて気づかされた。

仕事と家庭の両立は簡単なことではない。結婚や出産を考え、自分のキャリアを諦めてしまう女性。逆に、キャリアアップを目指すために自分のプライベートを後回しにしてしまう女性も少なくないだろう。川崎社長は、どちらかしか選べない職場環境を変えるため、男性に対しても女性マネージメントを教えている。男性からの理解を得るだけでも「女性にとっての働きやすさ」は格段に変わってくるということを日本全体に伝えていくべきだと感じた。

人生という限られた時間を、ただ何となくダラダラと過ごすか、自分のやるべきことに真剣に向き合い本気で取り組めるかが幸せな人生への分かれ道になる。自分がやるべきことは、興味や関心のあることにまずは挑戦することで見えてくる。本メディアでは、新しいことに挑戦する勇気に繋がる情報や記事を今後も届けていきたい。

toyoshima

インタビュアー 兼 ライター

株式会社パーソナルナビ メディア事業部。
四年制大学の教育学部を卒業後、都内小学校に勤務。
退職後は教育者の経験を活かし、20代~30代を中心にキャリアアップ支援事業を行う現職に就く。


会社概要

【会社名】
Lintos株式会社

【事業内容】
(法人向け事業)女性活躍支援コンサルティング/メンター代行/事業開発コンサルティング/人材紹介/講演・社内研修
(個人向け事業)婚活サイト「キャリ婚」/婚活結社「魔女のサバト」/個人カウンセリング

【代表氏名】 
川崎 貴子(かわさき たかこ)

【代表経歴】
1972年生まれ。埼玉県出身。
1997年に働く女性をサポートするための人材コンサルティング会社・株式会社ジョヤンテを設立。女性に特化した人材紹介業、教育事業、女性活躍コンサルティング事業を展開。2014年から株式会社ninoya取締役を兼任。2017年末株式会社ジョヤンテ退職。ブログ「酒と泪と女と女」を執筆。婚活結社「魔女のサバト」主宰。2人の娘を持つ。著書に『愛は技術 何度失敗しても女は幸せになれる。』(ベストセラーズ)、『結婚したい女子のための ハンティング・レッスン』(総合法令出版)など。

【本社所在地】
東京都世田谷区

【企業HP】
http://lintos.jp/

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