今回は、株式会社モフィリアの取締役ファウンダー会長である天貝佐登史さんにお話を伺いました。天貝さんは、企業の成長を牽引し続け、ビジネスシーンに大きな影響を与えている存在です。天貝さんのキャリアの軌跡と成功の秘訣について、じっくりと掘り下げていきたいと思います。
01 早期のビジョンと目標設定

天貝さんのキャリアは、大学時代からの明確なビジョンと目標設定が土台となっています。彼は、「学生時代から、自分のアイデアを形にする仕事をしたい」と考えており、それがIT業界でのキャリア選択に繋がりました。テクノロジーの急速な進化に惹かれ、情報処理技術の基礎を学ぶことが将来的に大きな武器になると確信していたのです。
「当時のIT業界はまだ新しく、可能性に満ちていました。自分の手で何かを作り上げることに対して、強い興奮と期待を抱いていました」と天貝さんは振り返ります。大学での学びを通じて、技術の基礎だけでなく、問題解決のスキルやプロジェクト管理の経験を積むことができたことが、彼のキャリアの第一歩となりました。
02 転職と起業への道
大学卒業後、天貝さんはまずIT業界の大手企業でキャリアをスタートさせます。ここでの経験は、技術的な知識だけでなく、ビジネスの運営方法や顧客とのコミュニケーションのスキルも養う貴重な時間でした。
「大手企業での経験は、ビジネスの仕組みを深く理解するために非常に役立ちました。特に、チームワークやプロジェクトの進行管理の重要性を学びました」と述べています。
しかし、天貝さんは次第に「もっと自由に自分のアイデアを実現したい」という思いが強くなり、転職を決意します。転職先では、より自由な環境での仕事を希望し、新しい挑戦を求めてさまざまなプロジェクトに取り組みました。「新しい環境で自分の力を試すことで、技術力やビジネスセンスがさらに磨かれました」と語ります。
その後、ついに起業を決断します。起業の背景には、「自分のビジョンを実現するためには、独立して自分の企業を持つことが最良だと考えたから」と天貝さんは語ります。「起業することで、自分が信じる価値を実現するための全ての決定を自分で行えるのが魅力でした。」しかし、起業には多くの挑戦が待っていました。資金調達や人材採用、ビジネスモデルの設計など、多くの障壁を乗り越える必要がありました。
03 モフィリアの立ち上げと成長の秘訣

株式会社モフィリアの立ち上げは、天貝さんにとって一大プロジェクトでした。モフィリア設立初期には、「資金面や人材面での課題が多く、どのように乗り越えるかが鍵でした」と天貝さんは振り返ります。特に、最初の資金調達の難しさや、優れたチームメンバーの確保には苦労したとのことです。
モフィリアの成長には、以下のいくつかの重要なポイントがあったと天貝さんは語ります。
- ビジョンの明確化: 「企業の方向性を明確にし、そのビジョンを全てのメンバーと共有することで、一致団結して進むことができました。ビジョンがあることで、困難な状況でも共通の目標に向かって進む力を得られました。」
- 顧客ニーズの把握: 「顧客のフィードバックを常に受け入れ、そのニーズに応えることが信頼を築く鍵です。市場の変化に対応し、柔軟にサービスやプロダクトを改善することが、企業の成長に繋がります。」
- チームの力: 「優れたチームメンバーと共に働くことが、企業の成功に直結します。個々の能力を最大限に引き出し、相互にサポートし合う環境を作ることが、企業の力を強化します。」
04 AIBOとの関わり
天貝さんのキャリアの中で、特に印象的なのがAIBOとの関わりです。AIBO(Artificial Intelligence roBOt)は、ソニーが開発したロボットで、AI技術とロボット工学を融合させた革新的なプロダクトです。天貝さんがこのプロジェクトに関わったのは、彼がIT業界の最前線で活躍していた頃で、AIBOの開発においては、技術革新とエンターテイメントの融合が目標でした。
「AIBOは単なるロボットではなく、ユーザーとのインタラクションを通じて感情的なつながりを提供するものでした。AI技術の進化と、ユーザーエクスペリエンスの向上を目指すこのプロジェクトには、多くの可能性を感じていました」と天貝さんは語ります。
このプロジェクトに関わる中で、天貝さんはAI技術がどのようにしてユーザーの生活に新しい価値を提供できるかを深く理解しました。「AIBOの開発を通じて、技術と感情の結びつきがどれほど重要かを実感しました。ユーザーの心を掴むためには、ただの技術的な革新では不十分で、感情的なつながりを作ることが必要だと学びました」と述べています。
この経験は、後の起業やモフィリアでのプロジェクトにも大きな影響を与えました。天貝さんのビジョンには、技術の先端を行くことだけでなく、ユーザーとの深いつながりを重視する姿勢が反映されています。AIBOでの経験が、どのようにして彼のビジネスに対する考え方やアプローチに影響を与えたのかを伺うことができました。
05 リーダーシップとチームビルディング

天貝さんのリーダーシップのスタイルは、コミュニケーションと信頼の構築に重点を置いています。
「リーダーシップとは、指示を出すだけでなく、チームメンバーと密にコミュニケーションを取り、彼らの意見やアイデアを尊重することだと思います。チームのメンバーが自分の意見を自由に言える環境を整えることが、全体の士気を高めるのです」と天貝さんは話します。
また、チームビルディングの重要性についても触れ、「チームが一つの目標に向かって協力し合うことで、困難な状況でも乗り越えられる力を持つようになります。リーダーとしては、そのための環境を整えることが大切です。」と述べています。リーダーとしての姿勢やチームとの関係作りについても、具体的なエピソードを交えて語ってくれました。
06 キャリアにおける挑戦と成長
天貝さんのキャリアにおいて、挑戦と成長は切っても切り離せない要素です。「挑戦を恐れず、新しいことに取り組むことで、自分自身を成長させることができました。特に、予想外の困難や失敗に直面したときに、それをどう乗り越えるかが重要です。」と天貝さんは述べています。
また、成長を促進するためには、常に学び続ける姿勢が大切だと語ります。
「新しい技術やトレンドに対して敏感であり、常に学び続けることが成長に繋がります。業界の変化についていくためには、積極的に情報を収集し、自分のスキルをアップデートすることが必要です。」とアドバイスをくれました。
ライター | 経歴 |
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![]() 鈴木 | 株式会社パーソナルナビ メディア事業部。 『THE CAREER』ライター。 国立大学医学部にて看護学を学んだものの、医療と違う道を選ぶ。営業と人事採用の経験を活かし、キャリアに関する情報を発信。 |
【会社名】
株式会社モフィリア
【事業内容】
生体認証デバイス及び対応ソフトウェア開発キットの開発・製造・販売
製品の保守サービス、コンサルティング
【登壇者氏名】
天貝 佐登史 (あまがい さとし)
【登壇者経歴】
1979年3月 東京工業大学大学院総合理工学研究科システム科学(人工知能)専攻 修了
1979年4月 ソニー株式会社 入社
1992年9月 ソニーエレクトロニクス(アメリカ)商品企画、経営企画VP
1997年9月 本社国際人事部長、R&D人事部長
2000年4月 エンタテインメント・ロボットカンパニー・プレジデント(aibo、QRIO)
2006年3月 本社コーポレイトプレジデント室長
2007年2月 FVA(静脈認証)事業開発室長
2010年12月 株式会社モフィリア 創業、代表取締役社長
【本社所在地】
東京都品川区東五反田5丁目22−37 オフィスサークルN五反田 404
【企業HP】
https://www.mofiria.com/