この記事は、保護者対応のストレスや持ち帰り業務が多いことに悩む幼稚園教諭向けに辛い職場環境の改善方法をまとめています。この記事を読むことで、今の職場に残るべきか、転職を検討するべきかが判断できるようになります。
監修者 | 経歴 |
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豊島 | 株式会社パーソナルナビ メディア事業部。 キャリアアップメディア『THE CAREER』 のインタビュアー兼ライター。 四年制大学の教育学部を卒業後、 都内公立小学校に勤務。 退職後は教育者の経験を活かし、 20代~30代を中心にキャリアアップ支援事業を行う現職に就く。 |
幼稚園教諭を「辞めたい」「辛い」と感じるランキング
独自で行ったアンケートを基に幼稚園教諭の業務を行う中で、辞めたい・辛いと感じる理由をまとめました。
理由1位:残業が多い
幼稚園教諭は、子どもたちと楽しく過ごすだけではない大変な仕事です。季節ごとの行事準備はもちろんのこと、日々の授業に伴う業務も幼稚園教諭の仕事です。
教材作りやカリキュラム作成、保護者対応など、幼稚園教諭の仕事は尽きることがありません。しかし、園児がいる時間帯は子どもたちの世話に集中する必要があります。そのため、雑務全般は夕方以降に行わなければなりません。夕方以降に行う業務は、定例会議や研修なども含まれます。また、時には休日出勤も求められることもあります。
そういった残業が重なると、自分の時間がなくなってしまいます。趣味や家族との時間、睡眠や健康管理など、大切なことを犠牲にしなければならないこともあります。プライベートの時間が疎かになり、仕事に対するやりがいや楽しさも失ってしまう方も少なくありません。
元幼稚園教諭の声
私立子ども園
幼稚園教諭
ひとり担任だったので行事前は徹夜作業が続くこともしばしば。行事の前日に倒れてしまいましたが、行事はいつも通り出勤するよう言われて絶望しました。
民間保育施設
幼稚園教諭
書き物や制作物など持ち帰ることのできる作業は家で行っていました。また、不妊治療を希望していましたが休みがもらえませんでした。
理由2位:保護者の対応がきつい
保護者対応は、幼稚園教諭の仕事の中でも大きな負担となることが多いです。教育方針の相違や園児同士のトラブルなどによってその対応はほぼ毎日といっても過言ではありません。
自分や園の考える保育観と保護者の意見が相違する場合、どちらが正しいのか、どう対応すれば良いのか、迷ってしまうことも多いようです。自分の信念や価値観を曲げるのは辛いですが、保護者との関係を悪化させることを避けるため、保護者の意見を優先する選択をしなければならないケースもあります。そうすると、さらに他の保護者から文句や無茶な注文を言われたり、幼稚園教諭はどんどん疲弊していってしまいます。
子どもたちの成長や幸せを願って、日々工夫して真面目に保育と向き合っている幼稚園教諭ほど、保護者からの理不尽な要求やクレームに悩まされることがあります。
元幼稚園教諭の声
私立幼稚園
幼稚園教諭
保護者の方と意見がすれ違った時に、うまく解決できませんでした。園長は私に成長してほしかったようで対応してもらえず、負担に感じました。
公立幼稚園
幼稚園教諭
業務時間外にも、保護者から子どもたちについての相談や問い合わせの連絡が多くありました。上手く気持ちを汲み取れないことも多く、自分が嫌になりました。
理由3位:他の職員との衝突
幼稚園教諭の仕事は、女性が多く活躍している職場です。それゆえに、人間関係のトラブルに巻き込まれることも少なくありません。年齢や経験の違いによって、教育・保育方針に対する考え方や意見が異なりトラブルに発展することがあります。
また、男性教諭は、女性が多い職場で働くことに不安やストレスを感じやすいです。女性の話し方や考え方についていけなかったり、長時間の会議や細かい連絡に疲弊することも少なくないでしょう。
元幼稚園教諭の声
私立幼稚園
幼稚園教諭
女性が多い職場でなかなか気持ちを分かってもらえませんでした。悩みを打ち明ける相手もいないため、自分で抱え込み限界がきてしまいました。
私立子ども園
幼稚園教諭
園長の好みではないお遊戯をしたことで、こどもたちの前で怒られました。その後も無視される・嫌みを言われることが続き、辛く感じました。
仕事のストレスを解消して、辛い気持ちを抑える方法
幼稚園教諭を辞めた方10名へのアンケートを参考に、辞めたいと感じる理由に対する対処法をまとめました。
Q. 残業を減らすには?
A. 業務のデジタル化を取り入れる。
幼稚園教諭の仕事は、紙媒体で管理することが多いですが、それは時間と労力の無駄になることもあります。行事の装飾作成や日々の連絡事項・出席把握業務などは、PCやスマホで簡単にできるようになっています。デザインツールやクラウドサービスなど、便利なツールを使って業務時間を短縮しましょう。
欠席連絡も、アプリで管理することができます。アプリを使えば、保護者からの連絡をリアルタイムで確認できますし、教諭同士の情報共有もスムーズになります。朝の忙しい時間帯に電話対応をする必要がなくなります。
業務のデジタル化は、残業時間を減らすだけでなく、子どもたちと向き合う時間を増やすことにもつながります。子どもたちの笑顔を見ることが、教諭のやりがいになるはずです。業務のデジタル化を取り入れて、仕事の質と効率を高めましょう。
A. タスクを他の教諭と共有し分担する。
幼稚園教諭の仕事は、自分の担当するクラスだけでなく、園全体の業務にも関わることが多いです。そのため、タスクが多くなりがちで、残業時間が増えることもあります。そこで、タスクを共有し、分担することが重要です。
タスクを共有し、分担することで、自分の仕事の負担を一人で抱え込まずに、業務の効率化や品質向上を実減することもできます。また、園のチームワークを高めることもできます。得意なことや苦手なことも共有し、互いに協力し合うことでチームの一体感や信頼感を高めることにも繋がります。
他の教諭のやり方や考え方を参考にしたり、フィードバックをもらったりすることで、学びや保育スキルの向上も図れるため、残業時間を減らす以外にも職場環境や自分自身の成長など良い影響に繋がる可能性があります。
Q. 保護者対応の負担を軽減するには?
A. 自分と異なる考えも受け入れてみる。
幼稚園教諭は時に、自分と異なる教育観を持つ保護者と対応することで、ストレスや負担を感じることもあるでしょう。そんなときは、自分と異なる考え方も受け入れてみるという姿勢を持ってみましょう。保護者の教育観が自分と異なっていても、子供により良い環境を作りたいという想いは共通しています。その根本を意識して、相手の考えも柔軟に受け入れる努力をしてみましょう。
どちらか一方だけが正しい、ということは保育・教育ではありません。自分の考えを否定する必要はないので、構えすぎず力を抜いてみることが重要です。また、保護者の考え方を理解しようとすることで、自分の考え方も見直すきっかけになるかもしれません。自分の考え方に固執するのではなく、保護者との対話を通して、子供のために何ができるかを考えてみましょう。
自分と異なる考え方も受け入れることで、保護者との信頼関係を築くことができ、子供の成長にも良い影響を与えることができます。保護者とのコミュニケーションは、自分自身の成長にも繋がるというポジティブな意識を持ちましょう。
A. 保護者にあった説明を心がける。
幼稚園教諭として、保護者とのやりとりは日常的に行われる仕事の一つです。しかし、保護者の要望に応えられないことがあると、困惑や不満を感じることもあるでしょう。そんなときは、保護者に合った説明を心がけるということを意識することが大切です。保護者が求める保育を実施したくても、園でできることには限りがあります。できないことを説明する時は、相手の怒りにつながらないよう丁寧に対応しましょう。
気持ちに寄り添った声かけで納得してもらえる場合や、論理的な根拠が求められる場合など、保護者によって求めるものは異なります。例えば、子供の成長に関するデータや研究を示すことで、保護者の理解を深めることができる場合もあります。また、保護者の意見を聞くことで、園の改善点や課題を見つけることができる場合などもあります。
保護者との信頼関係を築くことで、子供の成長にも良い影響を与えることができます。保護者とのコミュニケーションを億劫にとらえずに、一人ひとりと丁寧に向き合いましょう。
Q. 職場の人間関係を良好に保つには?
A. 積極的にコミュニケーションをとる。
業務のみの関係性では、職員の性格や特徴を理解することができず、良好な関係は築くことは難しいでしょう。そこで、行事を利用して、打ち上げやランチ会などお互いにリラックスして会話できるイベントを開いてみると良いでしょう。心の許せる同僚と一緒に働くことで、仕事のやりがいやモチベーションが高まります。
年齢や保育方針の違いがあっても、相手のことを理解していれば衝突を減らせます。相手の考え方や感じ方を尊重することで、信頼関係を築くことができます。また、自分の考え方や感じ方を伝えることで、相手に自分のことを理解してもらうことができます。お互いにコミュニケーションをとることで、職場の雰囲気やチームワークが良くなります。
職員同士の関係が良好であれば、子供たちにも安心感や楽しさを伝えることができます。現在、職場の人間関係で悩んでいる人は、勇気を出して気軽に話すことができる場をセッティングしてみるのもおすすめです。
A. とことん話し合う。
職場の人間関係は仕事の質や効率にも影響します。同僚と衝突が起こった時は、とことん話し合うということが大切です。どのような考えの相違であっても、お互いの考えをしっかりと理解することは必要です。分かり合うことは難しくても、相手の考え方を正しく認識することで妥協点を見つけやすくなります。
話し合うことで、相手の考え方の背景や理由を知ることができます。また、自分の考え方の根拠や目的を伝えることができます。お互いに考え方を明確にすることで、誤解や偏見を解消することができます。話し合うことは、相手のことを尊重することでもあります。相手のことを尊重する姿勢を示すことで、信頼関係を築くことができます。
どうしても辞めたい・辛い気持ちが消せない場合は
自分がやりたいことを洗い出してみる
やりたいことが明確でないと、今後も同じ不満を抱えてしまう可能性があります。自身の目指すキャリアを明確にし、やりたい方向に向かっているのか、自己分析しましょう。
自己分析が1人でできない・うまく行かない場合は、「i3 アカデミー」のキャリアカウンセリングがおすすめです。プロ講師による有料級のカウンセリングが、無料で受けられます。あなたのお悩みにあった解決方法が必ず見つかるはず!
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もし仕事を辞めて、転職するならどうしたらいい?
まずは職種を変えるか検討しましょう。決める基準としては年齢が大きく関わってきます。
20代であれば、興味のある業界に飛び込んでも問題ありません。30代以降であれば、これまでの経験を活かせる職種の中で検討がおすすめです。
経験を活かせる次の職種
養護教諭
幼稚園教諭の経験を活かせる職業として、養護教諭があります。養護教諭は、学校や幼稚園で子どもの健康管理や保健指導を行う仕事です。子どもとの関わりを活かして、より専門性を追求できる転職先です。保護者との関わりも比較的少ないため、児童と関わる仕事は続けたいけど保護者対応に悩んでいる方におすすめです。
養護教諭になるには、看護師や保健師の資格が必要ですが、幼稚園教諭の資格を持っている方は、養護教諭の資格を取得するための研修を受けることができます。養護教諭は、子どもの成長や発達に関わるやりがいのある仕事です。
家庭教師
家庭教師は、学生の自宅や指定の場所で、個別に指導する仕事です。一人ひとりの学生に向き合うことができるため、質の高い教育の追求が可能です。特に小学校受験などを専門に扱うチューターは、前職の経験を活かせる職業です。
幼稚園教諭の資格や経験は、子どもの心理や発達に関する知識や、教育方法やカリキュラムの作成に役立ちます。家庭教師は、自分の得意な教科や年齢層を選ぶことができるので、自分のスキルや希望に合わせて仕事を探すことができます。家庭教師は、子どもの学力向上や夢の実現に貢献するやりがいのある仕事です。
どこで仕事を探すのがいいの?
仕事を探す方法は大きく3つの方法があります。
種類 | 転職サイト | 転職エージェント | 人からの紹介 |
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特徴 | サイトに掲載された求人から選び、自分で応募 | キャリアアドバイザーのサポートを受けつつ転職先を探す | 知人や社員の紹介・推薦により選考が始まる |
メリット | 好きなタイミングで、行きたい企業に応募可能 | 転職先調査などを代行してもらうため、手間がかからない | 書類選考が免除される場合がある |
デメリット | 求人に応募が殺到し、反応がないことがある | アドバイザーに当たり外れがある | 不採用時に紹介者との関係が悪化する可能性あり |
どの方法を選ぶにせよ、まずは第三者に相談をして客観的な意見を聞いてみることをおすすめします。
みんなはどうしてる?幼稚園教諭の退職・転職状況
文部科学省【令和元年度学校教員統計調査(確定値)の公表について】のデータを基にTHE CAREERがグラフを作成
文部科学省が公表している【令和元年度学校教員統計調査(確定値)の公表について】のデータでは、公立幼稚園に勤める幼稚園教諭の離職人数(定年以外)は、平成30年度の1年間で821人でした。
過去10年の教諭の離職人数は減少傾向にありますが、翌年の令和元年の公立幼稚園の本務教員数14,794人で見てみると5.55%の方が定年以外の理由で退職をしています。
保護者対応のストレスや持ち帰り業務が多いことが一因だと考えられます。あなた以外にも辛い職場を経験し、他の業界・職業へ転職する方が多いようです。
仕事を辞めた人、転職した人の体験談
20代の方の体験談①
なぜその職業に転職したのか
幼稚園教諭
保護者から、うちは怒らない方針だから何があっても怒るなと言われました。実現が難しく、クレームにつながった時に気持ちが切れてしまいました。
転職してよかったこと
子どもたちの命を預かる責任感から解放されました。保護者からのプレッシャーに悩まされることも無くなったので、のびのび仕事ができています。
転職して後悔したこと
前職では毎月季節の行事を行っていたが、転職すると特別何かすることはなくなりました。季節感が無くなって、少し寂しい気持ちもあります。
20代の方の体験談②
なぜその職業に転職したのか
幼稚園教諭
障がいを持った園児を受け持った際、将来安定した仕事に就けるのかという相談を保護者から受けました。自分が何かできないかと思い転職しました。
転職してよかったこと
残業が減り、自分の家族との時間が確保できるようになりました。自宅へ仕事を持ち帰ることも無くなりました。
転職して後悔したこと
子ども達とは多くたくさんの思い出がありました。途中まで担当した子どもたちには、少し寂しい思いをさせてしまうかと思うと心苦しいです。
30代の方の体験談①
なぜその職業に転職したのか
幼稚園教諭
園の職員とは、意見の衝突が多く人間関係は悪化する一方でした。職場環境の良い場所で再出発したいと思いました。
転職してよかったこと
保護者対応がなくなり、業務に悩むことも減りました。今の職場には男性も複数いるため、相談しやすい環境で安心しています。
転職して後悔したこと
子どもたちの成長過程を見守れなくなったことは残念です。園児にはいつも癒されていたので寂しい気持ちになります。
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