公認会計士を辞めたい、辛いときのストレス解消法|辞めるか続けるべきかの判断基準を解説

この記事は激務で精神的・身体的に負担が大きいことや、単調な作業の連続に悩んでいる公認会計士向けに辛い職場環境の改善方法をまとめています。今の職場に残るべきか、転職を検討するべきかが判断できるようになります。

監修者経歴
豊島
豊島
株式会社パーソナルナビ メディア事業部。
キャリアアップメディア『THE CAREER』
のインタビュアー兼ライター。
四年制大学の教育学部を卒業後、
都内公立小学校に勤務。
退職後は教育者の経験を活かし、

20代~30代を中心にキャリアアップ支援事業を行う現職に就く。

公認会計士を「辞めたい」「辛い」と感じる理由ランキング

独自で行ったアンケートを基に、公認会計士の業務を行う中で、辞めたい・辛いと感じる理由をまとめました。

理由1位:繁忙期の残業が多い

今回アンケートで得られたデータでは、月平均残業時間は30〜40時間でした。日本の労働者の月平均残業時間は25時間(1なので、大幅に平均を上回っていることが分かります。

「働き方改革」の影響により、国内全体では有休消化率が上がり、月間残業時間が短くなっています。一方で公認会計士は、「残業が当たり前」の環境は残っているようです。

特に残業時間が目立つのが、4〜5月あたりです。3月決算のクライアント業務が4〜5月でまとまって回ってくることが原因です。「繁忙期」にあたるこの時期、月間残業時間は80〜100時間にのぼります。

年間を通して、業務の忙しさが目立つ公認会計士ですが、特に繁忙期の激務に耐えきれず転職を考える方も多いようです。

(1 Open Work 働きがい研究所「残業と有給 10年の変化」より引用

元公認会計士の声

30代 <br>監査法人勤務
30代
監査法人勤務

終わりのない激務により、仕事がストレスでした。「お金を稼ぐため」と考え、モチベーションを保ちましたが、ストレスで浪費するようになり本末転倒。

30代<br>コンサルティング会社勤務<br>
30代
コンサルティング会社勤務

決算時期の残業がえげつなかったです。20代で公認会計士になりたての頃は、無理しても頑張れましたが、年々若さもなくなり体力的に無理だと感じました。

理由2位:業務が単調に感じる

公認会計士は、難関試験を突破する必要があるため、高い志をもって職に就く人が多い傾向にあります。その反面、監査作業の大半は書類やPC画面とのにらめっこ

不備がないか、膨大な量の資料を確認し続ける毎日が「つまらない」と感じ、やりがいを失ってしまうようです。

特に、コンサルティング業務を取り扱わず、純粋に監査のみを実施するような職場では、書類仕事を占める割合が大きくなり、業務の単調化が進んでしまいます。

元公認会計士の声

20代<br>監査法人勤務
20代
監査法人勤務

試験突破を目指していた時は刺激的でしたが、いざ職に就いてみると面白みを感じませんでした。黙々と作業をこなすのが得意な性格の人には向いています。

30代<br>監査法人勤務
30代
監査法人勤務

激務であることは、自分は気になりませんでした。ただ、つまらない作業を永遠と続けることが苦痛に感じ、転職を決意しました。

理由3位:顧客との関係に疲弊する

企業の依頼を受けてその企業の財務・税務を監査します。そのため、公認会計士からネガティブなことを進言されると、クライアントは「お金を払っているのに、自分の会社にケチをつけられた」と感じる傾向があります。

厳しく監査し、プロとしての助言を行うことはクライアントのためにもなりますが、関係が複雑である以上、伝え方は工夫する必要があります。

元公認会計士の声

20代<br>コンサルティング会社勤務
20代
コンサルティング会社勤務

プライドの高い経営者がクライアントの場合、コンサルには神経を使いました。相手のための助言でも、本人が気に食わなければ、担当を変更されることもあります。

30代<br>監査法人勤務
30代
監査法人勤務

監査対象がお客様であるという関係性は、ストレスのもとでした。特に、20代の頃は自分より年上の方を相手にするため、ナメられないように必死でした。

仕事のストレスを解消して、辛い気持ちを抑える方法

公認会計士を辞めた方10名へのアンケートを参考に、辞めたいと感じる理由に対する対処法をまとめました。

Q. 残業を少なくするには?

A. 職場を変える or 独立する。

監査法人やコンサルティング会社・税理士事務所での勤務の場合、業務の特性や人材不足の状況を考慮すると、労働時間の改善は難しいと考えられます。

「働き方改革」があっても、コンサルティング業の残業時間短縮が他の業種に比べ微小であることからも、現職のままでは労働時間の改善は期待できません

公認会計士を続けながら自分の希望する働き方を実現する最善策は「独立」です。経験を積んだら、自分の会社を立ち上げることをおすすめします。

独立のリスクが怖い人・雇用される側が良い人は、規模の小さな税理士事務所やコンサルティング会社を探しましょう。また、一般企業まで転職の幅を広げれば、自社の財務管理のみに業務を絞ることも可能になります。

Q. 業務にやりがいを見つけるためには?

A. 監査の目的を振り返る。

仕事を「つまらない」と感じる要因の1つは、目の前の作業しか見えていないことが挙げられます。監査の目的、公認会計士の役割を再度振り返ってみましょう。

目の前の作業を通して実現できる「目的」は何なのか、初心に戻って志を持つことで仕事への想いが大きく変化するきっかけになります。

A. 業務にゲーム性を加える

「目的を振り返れば、志が戻る」とはいえ、継続して仕事にやりがいを感じるためには、目の前の作業を楽しめなければいけません。

まずは複数の業務を交互にスケジューリングしてみましょう。自分が「つまらない」と感じる作業の後に「楽しい・得意」と感じる作業を配置することで、各作業にメリハリが生まれます。

次に、時間を区切って「自分だけの達成目標」を設けましょう。例えば、”15時までにA社分の資料は全て確認する”などの単純なものでも構いません。「達成できたら休憩時間に甘いものを食べていい」など、自分へのご褒美を用意することでクエストゲーム感覚で仕事が捗ります。

Q. 顧客と良好な関係を築くには?

A. 表現方法・心理学を学ぶ。

どうしても人間は「指摘」されることに関してマイナスの感情を持ってしまいます。公認会計士は、その職務的立場ゆえに、「指摘」することは避けられません。

同じ内容を相手に伝える場合でも、使用するワードや言い回し・表情などを工夫することで、相手が受ける印象を変えることができます。つまりところ、「自己のブランディング」です。

必要な知識や要素は、書物から学ぶことができます。自分の魅せ方を正しく理解することで、人間関係に悩むことも少なくなります。

どうしても辞めたい・辛い気持ちが消せない場合は

自分がやりたいことを洗い出してみる

やりたいことが明確でないと、今後も同じ不満を抱えてしまう可能性があります。自身の目指すキャリアを明確にし、やりたい方向に向かっているのか、自己分析しましょう。

自己分析が1人でできない・うまく行かない場合は、「i3 アカデミー」のキャリアカウンセリングがおすすめです。プロ講師による有料級のカウンセリングが、無料で受けられます。あなたのお悩みにあった解決方法が必ず見つかるはず!

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もし仕事を辞めて、転職するならどうしたらいい?

まずは職種を変えるか検討しましょう。決める基準としては年齢が大きく関わってきます

20代であれば、興味のある業界に飛び込んでも問題ありません。30代以降であれば、これまでの経験を活かせる職種の中で検討がおすすめです。

経験を活かせる次の職種

FAS(Financial Advisory Services )

会計面から提供するコンサルティングサービスの総称です。独立することも可能なため、将来のキャリアプランの幅が広がります。企業再生・事業再生など、やりがいの大きいプロジェクトに携わることができます。

ベンチャー企業のCFO

会計業から派生して、経営やファイナンスの経験が獲得できる転職先です。責任ある役職ですが、組織を動かす楽しさを感じることができるため、若手の公認会計士に人気です。

どこで仕事を探すのがいいの?

仕事を探す方法は大きく3つの方法があります。

種類転職サイト転職エージェント人からの紹介
特徴サイトに掲載された求人から選び、自分で応募キャリアアドバイザーのサポートを受けつつ転職先を探す知人や社員の紹介・推薦により選考が始まる
メリット好きなタイミングで、行きたい企業に応募可能転職先調査などを代行してもらうため、手間がかからない書類選考が免除される場合がある
デメリット求人に応募が殺到し、反応がないことがあるアドバイザーに当たり外れがある不採用時に紹介者との関係が悪化する可能性あり

どの方法を選ぶにせよ、まずは第三者に相談をして客観的な意見を聞いてみることをおすすめします。

みんなはどうしてる?公認会計士の退職・転職状況

業界の離職率
厚生労働省「令和2年雇用動向」調査より引用

公認会計士の離職率に関して、明確なデータは現状存在しません。しかし、公認会計士は一般的に学術研究、専門・技術サービス業に分類されるため、学術研究、専門・技術サービス業の離職率が参考になるでしょう。

厚生労働省の令和2年の調査結果では、学術研究、専門・技術サービス業の離職率は10.3%です。

業務量が多く残業が絶えないことや、単調な作業に飽きてしまうことが一因だと考えられます。あなた以外にも辛い職場を経験し、他の業界・職業へ転職する方が多いようです。

仕事を辞めた人、転職した人の体験談

20代の方の体験談①

転職先:独立系FAS

なぜその職業に転職したのか

元 監査法人勤務
元 監査法人勤務

30歳になる前にワークライフバランスを改善したいと考え、環境を変えることに決めました。公認会計士の経験は活かしたかったので、同じ業界で探しました。

転職してよかったこと

相変わらず忙しいですが、以前ほどの残業は必要なくなりました。気になっていたバリュエーションにも挑戦ができ、やりがいを感じています。

転職して後悔したこと

より戦略的思考・プレゼン能力を求められるようになりました。周りに負けないよう、日々勉強しなければいけません。

20代の方の体験談②

転職先:会計事務所の公認会計士

なぜその職業に転職したのか

元 コンサルティング会社勤務
元 コンサルティング会社勤務

ゆくゆくは自分の会計事務所を立ち上げたいと考え、勉強のために転職しました。

転職してよかったこと

規模の小さい会社なので、代表とも頻繁にコミュニケーションが取れる環境が気に入っています。また、幅広い税務の経験が積めるので、勉強になります。

転職して後悔したこと

もう少し業務量が減らせると予想していましたが、あまり変わりませんでした。今は修行だと考え、頑張るのみです。

30代の方の体験談①

転職先:一般企業の経理職

なぜその職業に転職したのか

元 管理法人勤務
元 管理法人勤務

結婚を控えていたので、一般職に移り家族との時間を作れるようにと考えました。

転職してよかったこと

定時に帰ることができ、週に1〜2日ほどテレワークの日があります。働きやすい環境だと実感しています。

転職して後悔したこと

年収が大幅に下がってしまいました。せっかく難関の資格を持っているので、もう少し年収は保ちたかったなと感じています。

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