早川 周作代表 「沖縄から世界へ!」 |日本を代表するプロ卓球チームを率いる経営者が語るキャリアとは

今回お話を伺ったのは、
琉球アスティーダスポーツクラブ株式会社の代表取締役会長兼社長、早川 周作(はやかわ しゅうさく)さんです。

「だれもが夢をあきらめない社会をつくる。」を企業ビジョンに掲げる早川代表が、これまで築いてきたキャリアと、今後目指すステージについてお聞きしました。

【現在】未来を照らす太陽になる


—琉球アスティーダの事業内容を教えてください


世界トップレベルの卓球リーグ「Tリーグ」に参戦する『琉球アスティーダ』というプロスポーツチームの運営を行っています。2018年に人口2万人の沖縄県中頭郡中城村で誕生し、3年後の2021年に日本で唯一のスポーツクラブでの上場を果たしました。「沖縄から世界を獲りにいくよ!」をスローガンに掲げ、失敗してもどん底にいても何度でも這い上がる社会を創っていくことを目指し、チームメンバーと共に現在まで成長を続けています。

チーム名の『アスティーダ』は「明日」と「ていだ(沖縄の方言で太陽)」を組み合わせた言葉で、未来を照らす太陽の存在になるという想いを込めています。我々の活躍する姿を見て、村からこんなチームに成長できるんだ、卓球でこんなことができるんだと、多くの人に希望を与えられるようなチームを目指しています。

琉球アスティーダは、『スポーツ×ビジネス』を軸に事業の展開をしています。例えば、京セラ株式会社さんと共同で「センサモジュール」という手や足の動きをPCやスマートフォン上で可視化できるシステムの開発事業なども行いました。スポーツは、多くの人に夢と感動を与えることができます。そのマーケットをより活性化させるために、今後も様々な業種業態と連携を図りながら我々が更なる成長を遂げ、スポーツ業界全体に大きな変化をもたらしていきたいと考えています。


— 経営の中で意識していることは何ですか。


我々は、「だれもが夢をあきらめることのない社会の実現」を志に掲げています。事業を行ううえで一番のポイントは、この夢や志を胸をはって語るということです。

新規事業の選択は、自らの想いや志、夢に近づくことかどうかを判断基準とし、近づくと判断した事業に我々は全力で取り組みます。一番大切なのは志であり、その志に対して、5年、10年、30年先の夢を描き、実現させるために何があっても継続をするという強い精神をもって事業に取り組んでいます。

有志有途ゆうしゆうと』という言葉を私の座右の銘にしています。私のこれまでの人生の中で、志のあるところに道は開けるということを様々な経験から学んできました。つまり、ミッション・ビジョンを明確にし、想いや情熱をもって相手に伝え続けることで、信じてくれる仲間が増え、夢への実現に近づくことができるということです。この考えは、事業だけでなく、チームマネジメントを行う上でも大切にしています。熱意をもって一人ひとりとしっかりと向き合い、同じゴールを目指し共に戦うことが、成長の鍵だと思っています。

【過去】前例がないことが壁になる


— チーム運営を引き受けた経緯を教えてください。


元々卓球に縁もゆかりもない私が、プロ卓球チームの運営を引き受けることになったのは、Tリーグを立ち上げた松下浩二(初代チェアマン)との出逢いがきっかけでした。松下浩二(初代チェアマン)から、「卓球は、たとえお金がなくても、体格が小さくても、5歳からはじめて15歳でプロになるチャンスを掴めるスポーツだ」という熱いお話をしていただきました。私は、そんな卓球の魅力に惹かれ30分でチームを引き受けることを決断しました。当時、卓球のことは全く知らなかったのですが、開幕まであと数カ月しかないという状況でしたので、その翌週には法人登記の準備をはじめ、急ピッチで会社を設立をしたのが琉球アスティーダの始まりです。

私は、『即断即決即実行責任』をキーポイントにしています。大きな決断や答えを出す際に、多くの人はその場で答えを出さず考えるための時間を必要とすると思いますが、私は考える時間があっても結論は変わらないと思っています。世の中は、やってみて初めて分かることばかりなので、「まずはやってみよう!」という気持ちで挑戦をするようにしています。

これまでにも、10年程住んでいる沖縄の経済や教育活動発展のために、琉球大学で教鞭をとったり、地元のスポーツチームを応援したりと様々な活動に取り組んできました。個人としてではなく会社として、多くの人がチャンスを掴むことのできる卓球業界の活性化を図ることによって、正面から社会課題解決の糸口を提案していくことができるという確信をもち、決断をしたというのが経緯になります。


— 経営の中でどのような壁にぶつかりましたか?


プロスポーツチームとして初の上場を果たすまでの道のりは、本当に多くの壁の連続でした。東証市場で初めての業種、業態での上場だったので、審査を通過することが普通の何倍も難しく、前例がないからこそ前に進むことができない壁というに直面しました。どこにKPIを設定するのか、どう実態説明をするのかなど、初めてだからこそ苦戦の毎日でした。

ただ私は、事業をやるからには、自分の生きた証として歴史に残ったり、誰かに影響を与えたりすることのできる事業をやり遂げたいと決めています。普通の事業を普通にやり切るよりは、はるかにレベルは高くなりますが、その分やってきたことに対して必ず価値を感じることができると信じています。大きな壁にぶつかったときも、諦めずに壁さえも楽しむという精神で構えていれば、どんなことでも乗り越えていけると思っています。

【未来】次世代に残るものを生み出す


— 今後の展望や目標を教えてください。


夢と感動を与えることのできる文化やスポーツに、適正なお金の循環が生まれるよう、今ある事業モデルを拡大し、さらに新しいビジネスモデルの構築に力を入れていきたいと思っています。

我々は、次世代に何かを残すために挑戦を続けています。たとえ、100個のことに挑戦して99個が失敗に終わったとしても、結果的にそのうちの1つでも花が咲くものがあれば次世代に残していくことができるのです。‟倒れるときは前へ”の攻めの姿勢でひたむきに取り組みを進めています。

また、会社としての大きな目標の一つとして、日本で最大時価総額のプロスポーツチームを作るという目標を掲げています。10年以内に時価総額100億円を目指し、実現のためにこれまで琉球アスティーダで作ってきた成功モデルの横展開を進め、事業規模を拡大していきます。


— 新しい挑戦への発想はどう生み出していますか?


私は、人から得る情報をとても大切にしています。「出逢いは情報 」だと考えていて、人と会って話すことによって、今まで自分の知らなかった分野に興味が沸いたり、新しい価値観に触れることができたりします。出逢うことで、思いがけず有益な情報を得ることがたくさんあるのです。

私はよくベンチャー企業の経営者の方々に『いい人にはいい人脈があり、いい人脈にはいいビジネスチャンスがある』とお伝えしています。ビジネスに失敗してしまう方の特徴は情報不足です。情報が不足しているが故に、一つのものにこだわり続けてしまい、結果的に失敗で終わるというパターンを多く見てきました。

なので私は、毎日とにかく多くの方とお会いして、出逢いの中で次の事業の発想や挑戦のヒントを探しています。多くの方に日々刺激をいただいて成長を続けています。

【SDGs】社会課題解決型のビジネスモデルを


— SDGsへの取り組みを教えてください。


我々は、『企業が抱える課題の受け皿となり、社会問題解決のための架け橋となる』ことを目指し様々な活動に取り組んでいます。沖縄では、貧困率が29.9%で全国的に見ても高い水準にあること、母子世帯の割合が全国で最も高いことなどが地域課題として挙げられます。そんな地域課題解消の第一歩として、企業課題とスポーツを組み合わせたサステナブルな課題解決型事業の拡大に力を入れています。

具体的な取り組みの例として、「UNDER ARMOUR(アンダー アーマー)」の日本総代理店株式会社ドームさんの‟排気量を削減したい”という企業課題に対し、琉球アスティーダが連携し、売れ残った廃棄衣料を掴み取り形式で、児童養護施設などへの寄付活動を実現しています。

その他にも、内閣府沖縄総合事務局と連携し「シングルマザーの親子支援の活動」の一環として、ホームゲームへ無料招待をしたり、教育格差を埋める為、県内の卓球部の練習にコーチとしてプロ卓球選手を派遣したりと地域貢献活動なども幅広く行っています。今後も、スポーツの可能性を最大限に活かし様々な社会課題の解決に参画していきます。

【若者へ】地道にまさる王道はなし。


― 若い世代の方々へメッセージをお願いします。


私は、人に与えられる運は限られていると考えています。幸運を掴むためには努力が必要で、努力の先に実力がつき、結果的に幸運に繋がっていくものだと思っています。『5年、10年、30年先の自分がどうなっていたいか』を明確にし、そのゴールに対して、目の前のことを毎日地道に着実にこなしていくことで実力が磨かれていきます。そうすればきっと、想像できない程の幸運が舞い込んでくるということを頭に置いておいて欲しいです。

我々のSPIRIT(大切にする精神)の中に、『地道にまさる王道はなし。おもしろく楽しく、いつもご機嫌に。』という言葉を掲げています。つまり、自らの夢や目標を恥じず、発信する場をつくり、恩義温床を大切にする。人のために笑顔で汗をかき続けることでチャンスを掴むことができるのです。

地道に頑張り続けることは、決して簡単なことではありません。ただ、‟長い”‟辛い”という気持ちを、真逆の‟面白い”という感覚に変えられたその瞬間にその勝負に勝つことができると思います。『諦めずに、やり切り超MAX!』のマインドをもって自らの夢に向かって進み続けてください。


早川代表へのインタビューを終えて

今回、早川代表にインタビューをさせていただいて、目指す未来や志を自分の中で定めること、定めた目標に対して徹底的に努力を重ね、行動することの重要性を伺うことができた。熱意をもって発信を続ける早川社長だからこそ、異例のスピードで結果がついてきているのだと納得させられた。

『だれもが夢をあきらめない社会をつくる。』言葉で言うのは簡単かもしれない。だが、早川代表は自身の人生と、琉球アスティーダの軌跡で、描く未来に対する想いを証明している。何もない、あるいはどん底からのスタートでも、志と熱意をもって地道に進み続ければ、いつか必ずチャンスを掴み取ることができる。琉球アスティーダが多くの人に勇気と希望を与える存在であることは間違いない。

長い挑戦期間の中でたくさんの壁に直面する。その壁をいかに楽しめるか、一人で抱えずに人からヒントを得ることができるか、この二つができるかできないかで結果を多く動かすだろう。情報によって人の決断や人生は大きく変わる。本メディアでは今後も情報不足の人々を減らすためキャリア選択のための情報を発信していく。

toyoshima

インタビュアー 兼 ライター

株式会社パーソナルナビ メディア事業部。
四年制大学の教育学部を卒業後、都内小学校に勤務。
退職後は教育者の経験を活かし、20代~30代を中心にキャリアアップ支援事業を行う現職に就く。


会社概要

【会社名】
琉球アスティーダスポーツクラブ株式会社

【事業内容】
卓球チーム運営/卓球スクール/オンラインショップ/スポーツバル/アスティダサロン

【代表氏名】 
早川 周作(はやかわ しゅうさく)

【代表経歴】
1976年生まれ。秋田県出身。
大学受験直前に家業が倒産。父親が蒸発し家財をすべてを失い無理心中寸前まで追い込まれるが、前向きな上昇志向で、大学進学を目指して上京。

朝の新聞配達から深夜の皿洗いまでアルバイトをして、学費を作り明治大学法学部に進学。
大学在学中の20代前半から、学生起業家として数多くの会社の経営に参画して活躍する。
その後、元首相の秘書として約2年間勉強し、28歳で国政選挙に出馬、次点。
経営者に戻ってからは「日本のベンチャーを育てる」という意志の下、日本最大級の経営者交流会を全国で主催。
著書として『人生が変わる!「夢・実現力」』『小さい夢から始めよう。』がある。
経済紙、新聞その他のメディア露出多数。2012年10月より2013年3月まで、日本経済新聞の子会社、ラジオNIKKEIで全国ネット冠番組「タイムリー・トークショー早川周作Co-Lab」に出演。
30分の番組内では時事ニュースへのコメントやHISの澤田秀雄会長その他の有名経営者、また現職大臣、知事等を迎え時事対談を繰り広げた。

2018年2月、沖縄から卓球のプロリーグであるTリーグに参戦する「琉球アスティーダ」やトライアスロンチーム、飲食店を運営する琉球アスティーダスポーツクラブ株式会社を設立し、代表取締役に就任。
2021年3月、プロスポーツチームとして日本初となる上場を果たす。2021年4月、女子チームに参入し子会社の九州アスティーダ株式会社を設立し、取締役に就任。
同年8月、子会社のアスティーダマーケティング株式会社、AMG株式会社取締役に就任。また明治大学MBAビジネススクール講師に就任。
国立大学法人琉球大学及び国立大学法人秋田大学客員教授に就任し業種業界を超えた幅広い分野で活躍している。

【本社所在地】
〒901-2424
沖縄県中頭郡中城村字南上原1112-1 オーシャンビュー松山ⅡB1F

【企業HP】
https://ryukyuasteeda.jp

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