言語聴覚士を辞めたい、辛いときのストレス解消法|辞めるか続けるべきかの判断基準を解説

この記事は専門職としてのやりがいの喪失や職場の人間関係で悩む言語聴覚士向けに辛い職場環境の改善方法をまとめています。この記事を読むことで、今の職場に残るべきか、転職を検討するべきかが判断できるようになります。

監修者経歴
豊島
豊島
株式会社パーソナルナビ メディア事業部。
キャリアアップメディア『THE CAREER』
のインタビュアー兼ライター。
四年制大学の教育学部を卒業後、
都内公立小学校に勤務。
退職後は教育者の経験を活かし、

20代~30代を中心にキャリアアップ支援事業を行う現職に就く。

言語聴覚士を「辞めたい」「辛い」と感じるランキング

独自で行ったアンケートを基に言語聴覚士の業務を行う中で、辞めたい・辛いと感じる理由をまとめました。

理由1位:専門職間の複雑な人間関係

言語聴覚士は看護師・医師・薬剤師や介護職員など様々な専門職の方と連携しながら患者さんのサポートにあたります。職場における言語聴覚士の配置人数が少ないことや、比較的新しい国家資格であることから他職種スタッフからの理解が得られにくいことに悩む方も多くいます。

特に病院内では、医療職特有のパワーバランスが存在します。人数が少ないことや社会的認知が進んでいない点から、言語聴覚士はヒエラルキーの下層として扱われてしまうケースもあるようです。

元言語聴覚士の声

30代 介護施設<br>の言語聴覚士
30代 介護施設
の言語聴覚士

介護施設における言語聴覚士の仕事への理解が低く、雑務をまかされたり理不尽なことを言われたりすることもしばしばありました。

30代 訪問看護<br>ステーションの<br>言語聴覚士
30代 訪問看護
ステーションの
言語聴覚士

言語聴覚士という業種はケアマネジャーには知られていたが、どういう時に介入させると良いのかということが知られていないように感じました。PTやOTと違い利用者も少なく、肩身が狭い思いをしていたので転職しました。

理由2位: 仕事にやりがいを感じられない

歩行訓練や作業訓練などのリハビリと異なり、言語聴覚士が取り扱うリハビリは目に見える結果が得られにくいのが特徴です。自身が取り組んだ内容に対しての成果が他の職種に比べ感じられないことが、仕事へのやりがいの喪失に直結するケースが多くあります。

また前述の通り他職種からの理解度が低い点からも、専門的な知識や技術を活かした業務より雑務を多く任されることがあります。専門職としてのスキルを発揮できないことから言語聴覚士としての価値を感じられなくなる方もいるようです。

元言語聴覚士の声

20代 介護老人<br>保健施設<br>の言語聴覚士
20代 介護老人
保健施設
の言語聴覚士

言語聴覚士が1人しかおらず、誰かに相談したり意見交換をすることができませんでした。また回復が緩やかすぎるので、リハビリをしている実感が持てませんでした。

30代 介護施設<br>の言語聴覚士
30代 介護施設
の言語聴覚士

言語聴覚士としての経歴も薄く、上司にもあまり教えてもらえず、自信が持てませんでした。その中で患者さんを相手にすることに不安を抱え、やりがいを感じられませんでした。

理由3位:労働環境に不満がある

リハビリを担当する言語聴覚士には、毎月のノルマが課せられる場合があります。患者さん一人ひとりと向き合いながら業務にあたりたいという気持ちとは裏腹に、リハビリの数をこなさないと評価されない環境に悩みを抱える方もいらっしゃいます。

リハビリに加え幅広い業務を任せられ、サービス残業を毎日のように行う現場もあるようです。病院で多いのが、申し送りやスケジュール共有などを目的に勤務時間前に出勤を義務付けられる前残業です。

また検査や看護ケア・面会など患者さんの予定変更に合わせて対応を求められるため、休憩時間が取りづらいこともストレス要因になるようです。

元言語聴覚士の声

20代 回復期リハ<br>の言語聴覚士
20代 回復期リハ
の言語聴覚士

月の残業が60時間以上になることがほとんどでした。超過した残業代は申請することができず、割に合わな上に体調を崩してしまいました。

30代 リハビリ病院の言語聴覚士
30代 リハビリ病院の言語聴覚士

昼間は患者様の嚥下を確認したりカルテを書いたりと忙しく、ゆっくりできることはまれで疲れが溜まりやすかったことが辛かったです。昼休憩はほとんどありませんでした。

仕事のストレスを解消して、辛い気持ちを抑える方法

言語聴覚士を辞めた方10名へのアンケートを参考に、辞めたいと感じる理由に対する対処法をまとめました。

Q. 他の専門職員との関係を良好に築くには?

A. 言語聴覚士の役割や専門性を広める。

他の専門職の方も言語聴覚士について知りたいと思っていることが多いようです。しかし同じ現場で働くスタッフとして、今更お互いの役割を聞くことが恥ずかしいと考えている場合もあります。言語聴覚士として患者へどのような働きかけができるのか自らアピールしてみましょう。

A. 上司に教育チームを作ってもらう。

言語聴覚士として業務をこなしながら、自身の役割や専門意義を他のスタッフへ伝えることはかなりの労力を必要とします。負担が大きい場合は、上司に相談して病院・施設で「他職種に関する知識」を教育する専門のチームを編成してもらうことが有効です。

言語聴覚士のみならず同じ現場で働く他の専門職への理解も高まり、結果的に患者さんへの質の高いケアの提供に繋がります

Q. 仕事にやりがいを感じるには?

A. 患者さんの変化をノートにつける。

繰り返し行うリハビリで毎回変化を感じることは難しいですが、継続していく中で必ず患者さんの細かな部分に変化が生じます。毎回見逃さないようにメモを取ることで、リハビリの成果が可視化できます。自分の関わった患者さんの回復はやりがいと自信の獲得に繋がります。

A. 外部の勉強会へ参加する。

専門性の高い業務のため自分のスキルに対する自信が仕事への成果ややりがいへ直結します。職場配置により少数であることの多い言語聴覚士は、外部の勉強会へ積極的に参加することで同業の仲間とのコミュニケーションの場を確保できます。

困った時に頼れる先輩や共に切磋琢磨しながら知識を深め合える同期とのつながりを大切にしましょう。勉強会で専門的スキルを伸ばすことで、より自分の仕事に誇りを感じられるようになります。

Q. 効率的に業務をこなすには?

A. カルテに記載する内容の大枠を決めておく。

医療職の業務でボリュームを伴う事務作業はカルテの記載です。リハビリの最中もカルテにまとめる内容が明確に分かっていれば、患者さんの観察ポイントも絞られます。また自分なりのフォーマットを大まかに準備しておくと、記載の流れに悩まず進めることができます。

A. 分からないことは日頃から調べる習慣をつける。

医師から共有された検査結果からアセスメントを行うなど、様々な情報を的確に読み解く力が求められます。先輩に聞ける環境が整っていないケースも多い言語聴覚士は、自分で調べて解決する力が重要です。

日頃から「なぜ?」という視点を持ちながら、疑問に思ったことは調べるようにしましょう。その習慣が、日頃の業務でのつまづきを減らすコツになります。

どうしても辞めたい・辛い気持ちが消せない場合は

自分がやりたいことを洗い出してみる

やりたいことが明確でないと、今後も同じ不満を抱えてしまう可能性があります。自身の目指すキャリアを明確にし、やりたい方向に向かっているのか、自己分析しましょう。

自己分析が1人でできない・うまく行かない場合は、「i3 アカデミー」の無料自己診断がおすすめです。無料診断やキャリアプランナーの無料相談など、お悩みにあった解決方法が必ず見つかります。

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もし仕事を辞めて、転職するならどうしたらいい?

まずは職種を変えるか検討しましょう。決める基準としては年齢が大きく関わってきます

20代であれば、興味のある業界に飛び込んでも問題ありません。30代以降であれば、これまでの経験を活かせる職種の中で検討がおすすめです。

経験を活かせる次の職種

ケアマネージャー

医療福祉資格保有と実務経験5年以上でケアマネージャーの受験資格が与えられます。他職種に比べ患者さん個人との共有時間が多く、個別性のあるケアプランを提供できるのがケアマネージャーの魅力です。

特別支援学級の教師

発語遅延や自閉症、ADHDの基本的な知識を言語聴覚士は持っています。学校の特別支援学級に属する様々な児童に対して適切な対応ができるため、保護者からの信頼も得られやすい傾向にあります。

どこで仕事を探すのがいいの?

どこで仕事を探すのがいいの?

仕事を探す方法は大きく3つの方法があります。

種類転職サイト転職エージェント人からの紹介
特徴サイトに掲載された求人から選び、自分で応募キャリアアドバイザーのサポートを受けつつ転職先を探す知人や社員の紹介・推薦により選考が始まる
メリット好きなタイミングで、行きたい企業に応募可能転職先調査などを代行してもらうため、手間がかからない書類選考が免除される場合がある
デメリット求人に応募が殺到し、反応がないことがあるアドバイザーに当たり外れがある不採用時に紹介者との関係が悪化する可能性あり

どの方法を選ぶにせよ、まずは第三者に相談をして客観的な意見を聞いてみることをおすすめします。

みんなはどうしてる?言語聴覚士の退職・転職状況

厚生労働省「令和2年雇用動向」調査より引用

言語聴覚士の離職率に関して、明確なデータは現状存在しません。しかし、言語聴覚士は医療・福祉に分類されるため、医療・福祉の離職率が参考になるでしょう。

厚生労働省の令和2年の調査結果では、医療・福祉の離職率は14.2%です。

病院での人間関係に関する悩みや専門性が発揮しづらいジレンマが一因だと考えられます。あなた以外にも辛い職場を経験し、他の業界・職業へ転職する方が多いようです。

仕事を辞めた人、転職した人の体験談

30代の方の体験談①

転職先:歯科医院の受付

なぜその職業に転職したのか

歯科医院の受付
歯科医院の受付

前職では家事や通院などプライベートとの両立が厳しかったので、残業が少なく自宅に近い個人経営の歯科医院に転職しました。

転職してよかったこと

リハビリ病院では認知症により様々な判断が難しい患者様が多く、暴力やセクハラにあうリスクがありました、今はそのようなリスクはほとんどなくなりストレスから解放されました。

転職して後悔したこと

リハビリ病院勤務時に比べ、資格手当がなくなり勤務時間も減ったので全体的に給料が下がってしまいました。

30代の方の体験談②

転職先:デイサービスの介護職員

なぜその職業に転職したのか

デイサービスの介護職員
デイサービスの介護職員

介護現場では言語聴覚士として肩身が狭く、人間関係に疲れてしまいました。結婚を機に、プライベートの時間を確保するために退職をしました。

転職してよかったこと

介護士は多くいるため、理解されない苦しみがなくなりました。 そのため、ストレスを溜め込まずに仕事に打ち込めるようになりました。

転職して後悔したこと

年収が下がってしまったので、年収交渉をもう少ししっかり行っておけばよかったと思っています。

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